生贄救出譚

野津とら

第1話


むかしむかし、それは彼らがまだ駆け出しだったころのお話。



場所は妖精の国のそのまた小さな町のギルドの事。

多くは無いぼうけ「んだと!?ふざけてんのか!!!」「こっちの言葉よ!!ニンジン食べ過ぎて頭の中にニンジンしかないんじゃないの?!」

…………多くは無い冒険者達の中に依頼板の前で睨み合って険悪な雰囲気を作っている赤髪のエルフの少女と杖を背負い腰に宝石を付けたタビットがいた。

周囲は遠巻きに見るだけで関わらないようにしているようだ。


「こっちの小鬼討伐の方が良いに決まってるでしょうが!」


「そんなショボい報酬よりこっちの森での要注意蛮族の偵察の方がわりがいいんだよ!」


「こっち!」「こっちだ!」「「こっち!!!!」」


そんな二人に困った様子で神官服のヒューマンが近づいて行く。


「あーそのお二方?そろそろその辺に…「「ああ?」」デスヨネーーー」


が二人の圧に耐えられる事も無く遠い目をする事になる。その神官を慰めるように魔動機銃を背負ったドワーフが背中を叩く。


「いやいや、弱すぎ」


「もしかして慰めてます?」


「ぜんぜん」


「神よ……」



これは冒険の一片。今にいたる思い出の話。


そう、むかしむかしのこと…





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