第45話 歴戦のストーカーお嬢様
イリアスに紹介をした後、食事やお喋りをして友好を深めてその日は解散となり、現在私はベッドに入りながら明日の事を考えていました。
原作では主人公との初対面した日の翌日は、数ある授業の中から自分が受けたい授業を選択する日でした。
ここの選択肢によってイベント分岐やステータスの変化がある為、前世では攻略サイトを見ながら選んだものです。
ですが今回見るべきは攻略サイトではなく・・・
(そう、見るべきは攻略サイトではなく、実際選ぶ側の『主人公』ですわ。それによって発生するイベントの時期などが変わったりしますもの)
この授業選択で何を取ろうとも、メインストーリーの流れには大まかな変化は有りません。
しかし付随してくるサブストーリー、例えば『攻略対象とのイベント』や、『達成する事で主人公だけでなく学園を巻き込むようなイベント』がある為、ある程度把握しておきたいのです。
(把握した所で原作通りの事が起きるかは解りませんがね・・・)
この世界はロマンスというゲームに関わりがあるかもしれませんが、あくまで現実世界。0と1で制御されている訳ではないので何が起こるか解りません。
昨日のグウェル殿下との会話はほぼ原作通りにいきましたが、あれももう少しで違うモノになりそうでしたし・・・
(まぁでも、限定的とはいえ未来を知っているのは大きすぎる強みですわ。なので利用できるところは利用させてもらいますわ・・・)
そんな事を考えていたら何時の間にか眠気が強くなってきていたので、私はそのまま眠気に身をゆだね、気が付いたら寝ていました。
・
・
・
翌朝、寮と言いつつどこぞの高級ホテルの様に自室で朝食を取った後、私はお茶を飲みつつ人を待っていました。
本日は寝る前に考えていた通り授業選択の日です。
少し詳しく説明しますと、この授業選択では基礎授業3種『基礎数学』『基礎魔法』『基礎教養』のクラス分けや、それ以外に複数選択する応用授業を選んだりします。
応用授業は実際に授業を行う教室へと出向き、そこで張り出されている案内や教師から説明を受けて、そこで受けたいと思ったら申し込みをする、といった方式になっています。
まぁつまり・・・前世の大学に近い方式ですね。
そしてこれ、各自自由に見て回ってくださいとの事なので、私は何時ものグループで回る為に彼女達を待っているのです。
そこまで焦るモノでもないのでのんびり待っていると、ポツポツと何時ものメンバーが集まり、最後に新入りがやってきました。
「す・・・すいません!お待たせしましたっ!」
「随分のんびりやなぁ・・・新入りぃ・・・」
「・・・ぴっ!?」
なんかもうすっかりチンピラちゃんになってしまったサマンサがイリアスに絡んで行きますが、私はなんとなく予想していたので焦らずに止めに掛かります。
「およしなさいサマンサ。イリアスが入っている平民寮では色々仕事もあるのです。余裕がある私達が待ってあげるべきですわ」
私達が入っている貴族寮は有料で使用人付き、大してイリアスが入っている平民寮は無料で仕事付きとなっています。
どうやらサマンサはそれを忘れていたらしく、私が言うと素直にイリアスへ謝罪をしました。
「あー、そうやったわ・・・イリアスかんにんな?」
「いえ!大丈夫です!それにお待たせしたのは本当ですし!」
サマンサはこんな感じですが、原作とは違い基本的にはいい子です。なので謝罪をした後はイリアスと和やかにし始めたので嬉しくなりますが、いつまでもそれを見ている訳にもいきません。
「さて、イリアスも来たし行きましょうか?急いでいないとはいえ、学園は広いですからゆっくりし過ぎていると間に合いませんわ」
(それにイリアスが来たという事は、主人公の方も学園を回り始めた筈ですもの)
「はーい」と返事をするお友達集団と共に、私は学園校舎の方へと進み始めました。
・
・
・
(うーん・・・この感じから行くと青、紫ルートかしら?一応他のルートもいけなくはないけど、微妙ですわね)
こっそりと主人公の後をつけながら学園内を回り、そこから導き出されたルート分岐を考えていたのですが・・・
「今度はあっち・・・いえ、あっちに行きますわ」
どうやら後をつけているのはバレバレの様で、『何であの人達付いて来るの!?』みたいな感じで凄く警戒されていました。
(まぁ・・・このメンツでこっそりは無理ですわよね、キャラ立ちすぎですわ!ってそれは私もでしたわね)
例え私だけだとしても頭キラキラで目立つ色をしていますし、今はそれに加えて尖った格好の3人組まで連れています。目立たない訳がありませんでした。
しかし、だからといって主人公を追わない訳にはいかず、ここはもう彼女が此方を見るたびにニヤリとした笑みを返して『昨日の事を根に持ってつけ回してます』アピールをするしかありません。
(というか、原作でも主人公と私の選択授業が結構被っていたのってまさにそれなのでは?)
作品の演出上そうなっていると思っていたのですが、実はこういう理由だった?と1人納得していると、いつの間にか主人公の姿が見えませんでした。
「おっと・・・えぇ~っと・・・あっちに行きますわよ」
しかしそこは元歴戦のロマンスプレイヤー、今までの選択傾向と現在地、ここから近い授業の教室等から行先を算出して無事主人公を見つけ出し、その後も主人公のストーキングを続けました。
-------------------------------------
マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。少し短めで申し訳ありませんわ。
「面白い」「続きが読みたい」「未来まで知っているストーカーさん!?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると アナタの事も調べて差し上げますわ。
マシェリーの一口メモ
【寮の使用人は自分の家から連れて来る方も多数いますわ。そういう私もその1人で、以前にも出て来たあの子達を連れてきていますわよ!】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます