第24話 魔力についての検証2とお泊り
私とサマンサはオーウェルス家の無駄に広い屋敷を歩いた後、私の部屋の前へと辿り着きました。
「着きましたわサマンサ、ようこそ私の部屋へ」
出来る使用人のノワールが自然に扉を開けてくれたので、私はサマンサを伴って部屋へと入ります。
「お邪魔いたします。・・・こ・・・ここがお姉様の部屋」
サマンサは部屋へと入ると私の腕から離れ、ふらふらと部屋の中をうろつきます。
「ふぉぉ・・・」
「サマンサ、フラフラしていないで、こちらの椅子に座りなさいな」
「っは・・・わ・・・解りました」
サマンサは正気を取り戻したのか、素直に椅子に座ってくれました。
「さてと・・・もう少し・・・と言っても1時間程ありますが、それまではお喋りでもしていましょうか」
「はい、お姉様」
途中で中断するのもなんですので魔力の検証については準備だけ進める事にして、私は夕食までの時間はお喋りで時間を潰す事にしました。
喋り始めて暫くした頃扉がノックされたのでノワールが扉へと移動し、ぼそぼそと何やら喋った後にこちらへと近づいてきました。
「お嬢様、サマンサ様の使用人が戻りました」
「あらそうですの、入ってもらって構いませんわ」
「畏まりました」
どうやらサマンサの家に戻っていた使用人が帰って来たようでした。
ノワールは私がその使用人へと部屋へ入る事を許可したので再び扉へと行き、今度はサマンサの使用人を伴って戻ってきました。
「お嬢様、こちらサマンサ様の使用人から預かりました」
此方へ戻ってまずノワールはそう言い、1通の手紙を渡してきたので、私はサマンサの使用人へと目を向けます。
「マルドール家の御当主様からのお手紙です。今回の宿泊の件についてかと・・・」
「そうですの、ノワール」
「はい」
私がノワールに声をかけると、ノワールはペーパーナイフをこちらへと差し出してきます。
私はそれを受け取り封を開けて中の手紙を読みます。
「ふむふむ・・・」
手紙を要約すると、宿泊は問題ない事、もう1通使用人に手紙を持たせるのでお父様へ渡してほしい、と書いてありました。
私がサマンサへとお泊りOKの部分だけ伝えると、サマンサはそれまでも笑顔でしたが、更に3割増しくらいの笑顔になりました。
「やりました!お姉様と一緒に1日が過ごせるだなんてハッピーです!」
「あらあら・・・」
サマンサの微笑ましい言動に微笑んでいると、ノワールが食事の準備も整った事を伝えて来たので、私は先にお父様へと手紙だけ届けさせて食堂へと向かいました。
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夕食を食べた後私達はお風呂へと向かい、さっぱりとしてから部屋に戻ってきました。
「ふぅ~さっぱりですわね」
「はい、とてもいいお湯でした」
「お嬢様、サマンサ様、アイスティーでございます」
「あら、ありがとうノワール」
「お風呂上りに冷たいお茶はやっぱりおいしいですね」
ノワールが冷たいお茶を出してくれたので、サマンサとそれを飲みながらお喋りをしていたのですが、途中でノワールに話しかけられた事で今日の目的を思い出しました。
「失礼します。・・・お嬢様、準備は出来ていますがお忘れではないですよね?」
「あら・・・ごめんなさい、忘れておりましたわ」
私は素直に非を認め謝り、「それではお願いしますわ」とノワールに言った後サマンサの方へと向き直ります。
「どうしたのですかお姉様?なにかありました?」
「ええ、実はちょっとだけサマンサに手伝ってほしい事がございますの。よろしいかしら?」
「はい、私にできる事なら何でも!」
「ありがとうございますわ。っと、来たようですわね」
サマンサへと協力を取り付けたところでノワールが帰って来たようです。
「「失礼いたします」」
「戻りましたお嬢様。以前と同じ2人ですが、よろしかったでしょうか?」
「ええ、むしろその方が良かったから、良い判断でしてよ」
「ありがとうございます。それとお嬢様、この2人が先にどうしても言いたい事があると言っているので、どうか聞いてあげてください」
「ええ?よろしくてよ?」
ありがとうございますとノワールが言った後、連れてきた2人・・・以前に魔力の検証の時に来てもらった黄の魔力を持つ使用人2人が前に出てきて、いきなり頭を下げてきました。
「「マシェリーお嬢様、ありがとうございます!!」」
2人の使用人はそう言った後頭を上げ、1人が言葉を続けます。
「ヘリンダ・・・以前私達と一緒に呼ばれた青髪の子ですが、マシェリーお嬢様が手配してくださったおかげで大事なく治療が済みました!本当にありがとうございます!ヘリンダ本人からも、動ける様になったら直接お礼を申し上げに来るとの事です!」
「成程・・・解りましたわ。感謝の気持ちは受け取っておきますわ。ヘリンダという子にも、安静にして完全に治ったらでいいと伝えてくださる?」
「はい!畏まりました!」
どうやら前回の魔力検証のステータスをチェックした際に発見した、状態:病気となっていた使用人、その子についての事でした。
元気そうに見えましたが、ステータスには病気と出ていたので一応手配しておいたのですが・・・どうやら本当に病気だったみたいです。
(信じていなかったわけではありませんでしたが、一応治療の手配をしておいてよかったですわ・・・)
顔には出さずに心の中でホッと息を着く私を、サマンサはキラキラとした目で見ていました。
「良くは解りませんが、流石ですお姉様!」
「え・・・ええ、ありがとうございますわ」
素直に褒められたのと、使用人達からの尊敬の眼差しで少し恥ずかしくなってしまったので、私はサッサと検証へと移る事にします。
「さぁ・・・あんまり遅くなってもあれですし、始めますわよ!」
「「畏まりましたマシェリーお嬢様」」
「解りましたお姉様!・・・それで、何をすればいいんですか?」
私が始めると言うと素直に了承してくれたので、気づかれない様に心を落ち着かせながら指示をします。
先ずはその場に止まってもらってステータスチェックです。
私は例の目の横でピースのポーズを決めながら、『ステータスオープン』と心の中で唱えます。
『サマンサ』
状態:普通
強さ:弱い
使用可能:無色
好感度:高い
『使用人A』
状態:普通
強さ:弱い
使用可能:黄
好感度:高い
『使用人B』
状態:普通
強さ:弱い
使用可能:黄
好感度:高い
結果はこのような感じで、驚くことに使用人2人の好感度が『高い』になっていました。
恐らくヘリンダという子の件で好感度が上がったのでしょうが・・・やはり設定がゆるゆるな気がします。
(高いと言ってもどれくらいか解らないし、ちょっとしたことで直ぐに下がりそうですわね。それとサマンサは無色と・・・まあ当然ではありますわね)
3人のステータスをチェックしたところで次は使用人2人を呼び、前回と同じく私に片手を握られた状態で魔力操作を行ってもらいます。
結果は前回と変わらずで、やはり魔力は見えませんでした。
(まぁここまでは予想通りですわ。次は・・・)
「サマンサ、ちょっと来て下さる?」
「解りましたお姉様」
私はサマンサを呼んで左手を出してもらい、それを右手で握りました。
「これで何をするんですか?」
「そうですわね・・・。取りあえず・・・右手を出して黄色や雷をイメージして力を入れてみてもらっていいかしら?」
「・・・?魔法を使うという事ですか?私は未だ精霊の儀を終えていませんから使えませんよ?お姉様もですよね?」
「まぁまぁ、とにかく試してみてくれないかしら?」
「解りました・・・お姉様がそう言うなら・・・」
「ありがとうございますわサマンサ」
サマンサは私の言った事に深くは突っ込まずに、私の言った通りにしてくれました。
「ふぬぬぬ・・・」と声が聞こえるので力を入れているのだと思われましたが・・・私の視界に変化はありません。
「サマンサ、もうよろしいですわ」
「・・・はい。ふぅ~・・・」
これも予想通りでしたが、魔力は見えずという結果になりました。
なので次のパターンを試します。
(これで駄目なら後も結果は望み薄ですわね)
私はサマンサと手を繋いだまま、使用人A(パルフェと言う名前だそうです)にその場で魔力操作を行うように指示します。
「畏まりました」
パルフェは右手を前に突き出してから確認を取ってきました。
「始めますが、よろしいですか?」
「・・・よろしくてよ」
私はゴクリと唾を飲みこみパルフェの突き出した右手に注目します。
「・・・っふ!」
結果は・・・
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「一緒に寝るだと!?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると 貴方様に添い寝をしますわ!・・・お父様が。
マシェリーの一口メモ
【使用人が魔法を使えるの?と思った方がいるかもしれませんが、私の家では平民出身の者も居りますが、貴族出身の使用人も沢山おりますわ。貴族と言えど、家を継ぐ者以外は外へ働きに出かけるという事ですわね。】
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