第3話
「おはよう!ルー!」
そう言って笑ったメリアの顔は本当に綺麗でルーはそんな彼女の笑顔に思わず見とれてしまう。
一か月前は彼女のこんな笑顔が見られるなんて思いもしなかった。
あの日血だらけの俺を彼女は戸惑いながらも家に迎え入れてくれた。
どうして俺が血だらけだったのか、なんでまた空から降ってきたのか、疑問に思うことはたくさんあったはずなのに彼女は何も聞かずただちょっと困った笑顔を俺に見せてくれたのだ。
俺はそんな彼女のやさしさに一か月たった今も甘えている。
俺が血だらけで空から降ってきた理由、それを優しい彼女にはあまり教えたくなかった。
「んふふ。」
俺が少々の罪悪感を抱いているとメリアはひとりでににやけだした。
「どうしたの?突然にやけたりして。」
「別にー。ただこうやって誰かとおはようを言えるのはいいなあって思っただけだよ。」
そう言っている彼女の顔はまだにやけていた。
「そっか。うん、そうだね。」
気づけば先ほどまで感じていた罪悪感は青く綺麗な空に消えていき、俺の顔には笑顔が生まれていた。
守りたいな、この笑顔だけは。
最後に俺の頭に残ったのはそんな幸せな願いだった。
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