第7話 思わぬ障害に兵法使用

 知者のおもんばかりは、必ず利害をまじう。利にまじうれば······と、兵法はまだまだ続くが、長く難解な文を記しても、読者が飽きるだけ、要約すると。


『知将が物事を考え、判断する時は利と害を熟考する。従って物事は上手く行き、不利益に対しても利点を考慮して居たので、安心して困難を乗り越えられる』

 と言った意味だ。


 祖父から厳しく教えられた、兵法を忘れ良い事尽くしに油断してた。

 物事良い事だけが、続くはずが無かった。


 流し台の水が止まっただけで無く、台所前を流れる川も水が無い。


 儂がチョコチョコ歩くより、急遽確認の為、マキロ兄さんに見てきてもらった。

 竹細工の引水路いんすいろは、鉈の様な刃物で破壊されていた、との報告を受けた。

「あんな妨害をする奴は、村長のバカ息子しか居ない」


 兄妹達は、度々嫌がらせを受けて来たそうだ。


 兄妹力を合わせ、苦労して完成させた水路を破壊されて、儂はいかった。



 しかし、祖父から受けた孫子の兵法が頭に浮かび、冷静さを取り戻す事が出来た。

『敵を殺す者は怒なり。敵の貨を取る者は利なり。』

 敵を憎しみ怒りで殺すより、敵を味方にする事を考えるべき。


「さて、どうやるか!」

 策略を練って居ると、怒りが消え楽しくなってきた。


 二度目だから、引水路は簡単に修復できた。


 兄妹で「破壊された引水路は簡単に修復できた」と村中に言って回った。


 見張っていると、村長の息子デニスが鉈を持って、山に向かった。


「村長!!あんたの息子が又々、儂達の水路を破壊しに行ったぞ!!どうしてくれる!!!」


 村では儂の事、助産婦の報告で、聖人様で通っておる、儂自らの苦情、村長も無視出来ず、息子の暴挙確認に着いてきた。



「こら!!バカ息子!何をやっとる!!!」



 鉈を振りかぶり、引水路を破壊した所、思わぬ罵声にデニスは蒼白になっている。


 まさかの、父親からの罵声です、言い逃れ出来ない暴挙現場、ヘナヘナ座り込むデニスだった。


 村長に首根っこ掴まれ、デニスは引きずられ、帰っていった。



 破損は一ヶ所、簡単に修復出来、儂らも帰る事にした。

 非常に気分良く凱旋する、8人兄妹だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る