第82話・異世界に落とされた、1年たったら戻れるらしいけど

「頭が痛い、身体が痛い、何だここは」


 目を開けると真っ暗だった。何も見えない漆黒の闇に包まれた音も匂いも感じない虚無という言葉が似合う恐ろしい空間だった。

 そして更にそこは恐ろしいまでに魔力濃度の高い空間であった。

 そんな場所に何故か俺はいた?


「何だここは、一体俺はどうなって」


 ピコン

【勇者召喚に関係のない者が巻き込まれました】

 無機質な機械音が頭に直接響く。


「は、何だそれ、どういうことだ、勇者召喚ってまさか勇気のことか」


 ピコン

【勇者召喚に関係のない者が巻き込まれました・エラー・エラー・エラー・強制的にこちらの世界に身体が馴染むように変化させます】

 またも、無機質な機械音が頭に直接響く。


「身体を変化って、どういうことだ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、クソ痛い、何だこれはって、あれ急に痛みが止んだ、むしろ調子が良い?」


 ピコン

【身体の変化が終わりました、それに伴い、身体能力、魔力、不死性が強化されました】

 ピコン

【歪なスキルを持ってることが判明しました、スキルの改変を、改正を、変更を、変換を、改定を、・・・・・・・、人工的に作られたスキルを発見しました、エラー・エラー・エラー・エラー・エラー・エラー・・・・・・】

 ピコン

【スキルの強制統合を行い、整合性を図ります。・・・・・・・・・】

 ピコン

【成功しました。スキル闇魔法・腐敗魔法・死霊魔法・精神魔法・毒魔法・暗黒魔法・呪魔法・悪魔法・死魔法・消滅魔法・崩壊魔法・破壊魔法・極闇魔法が統合され、王スキル・【闇魔導王】を獲得しました】


 ピコン

【スキル身体強化・骨強化・魔力強化・骨太・打撃耐性・状態異常耐性・骨再生・再生・肉体強化・奇声・腐敗耐性・肉体再生・異臭再生・美肉体・美骨格・異形化・飛行・吐息・魔法耐性・皮膚硬化・物理攻撃耐性・魔法強化・毒放出・毒耐性・破壊強化・破壊耐性・吸収・放出・蓄積・極剛腕・虹骨・虹鬼の肉体が統合されました。・・・統合中・・・統合中・・・統合中・・・王スキル【完璧なる死霊王の肉体】を獲得しました】


 ピコン

【スキル精神強化・戦闘狂・極精神強化が統合されました。・・・統合中・・・スキル【闘魂精神・常時戦闘】を獲得しました】


 ピコン

【人工的に作られたエラーの処理を開始します。・・・処理中・・・処理中・・・処理中・・・処理が完了しました。スキル反転・性別・属性はスキル【反転変換】に処理しました】


 ピコン

【エラーを引き起こしていたスキルの処理が完了したことにより、この世界に対応することが出来るようになりました】


 ピコン

【最後にステータスを付与します。・・・・・・・・・・・・付与が完了しました】


 ピコン

【異世界へのランダム転移を開始します】


 再度頭の中で無機質な機械音が響き渡る。

 そして、真っ暗な謎の空間から急に森の中に放り出された。


「ここは、どこだ、というか俺にいったい何があった、確かあの謎の真っ暗な空間で無機質な機械音に異世界って?異世界?ん?待て待て待て、ということは俺異世界に飛ばされてないか?」


 グルガアアアアアアアア


 いきなり目の前に3メートルぐらいあるオオカミが現れた。


「凄いでかいな、というか迫力があってカッコいいな。まあ、取り合えず闇魔法・闇切り」

 俺はいつものように漆黒魔剣を闇空間から取り出すと、オオカミに闇切りを放つ。


 スパ


 綺麗にオオカミの体が真っ二つに切断される。

 そして、真っ二つになったオオカミの死体はそのまま放置される。


「ドロップ品にならない、死体がそのまま残っている。なるほど、うん、これでここはほぼほぼ100パーセント異世界だと証明されたな?取り合えず死体は闇空間に仕舞いますか。血の匂いにつられて魔物がやってきても面倒だし」


 俺はオオカミの死体を闇空間に仕舞ってから考える。

 これからどうしようかと。


「俺は今、異世界にいる、これは多分確定だ。元の世界に戻りたいかと言われれば戻りたいが、この異世界を楽しみたいというのもある、というか、待て、俺、どうやったら元の世界戻れるのか?・・・・・・、情報が欲しい、普通に情報が欲しい?こうなると人里に降りてって、いや、待て、いるじゃん、いけるやん?」


「千鬼死霊大行進・指定発動・異世界に一番詳しい」


「何用でしょうぞ、主様」


 俺の前に杖を突いた、お爺ちゃんが出て来る。


「ああ、実はこの世界のことに知りたくてな、それと、俺は元の世界に帰ることは可能なのか」


「この世界ですか、フムフム、ここは中度戦争世界ですな。時代背景は主様の世界でいう中世ヨーロッパですな。それと、主様が元の世界に帰れるかと聞かれると、今の主様では難しいと思われますぞ」


「中度戦争世界?何だそれ?というか、今のってどういうこと?俺が強くなったら戻れるとか?そういうこと?」


「いや、今の主様が強くなったら戻れるというより、主様がこの世界に馴染めば元の世界に帰ることが可能になりますぞ。まだ、主様はこの世界に来られたばかりでこの世界での存在がしっかりと確立していいませんぞ、その状態で元の世界への帰還つまり界渡りはかなり危険ですぞ。ですので、ある程度時間が経ち、この世界での存在がしっかりと確立すれば元の世界に帰ることが出来ますぞ。それと、中度戦争世界というのは、世界が滅ぶとまではいかないが国が滅び大地が荒れる程度の戦争をしている世界のことですぞ」


「なるほど、つまり、俺はこの異世界である程度過ごせば元の世界に帰れるという事?」


「はい、そういうことですぞ」


「因みにどのくらいの期間この世界に居ればいいの?」


「多分、1ヶ月~1年程度かと思いますぞ、流石の儂もそこまで正確な数字は出せません、出来れば1年待って完璧な状態で帰還していただけるとありがたいですぞ、因みに帰り方は普通に死霊魔法・死霊転移で大丈夫ですぞ」


「なるほど、分かった、じゃあ、1年間過ごしてから帰還するよ、ありがとう、帰って良いよ」


「では、また、何か用事がございましたら、いつでもお呼び下さいですぞ」


「分かったよ、千鬼死霊大行進解除」


「さてと、俺はこの異世界に1年いればいいのか、少し長く感じるが、まあ、せっかくの異世界だ楽しみますか」


 ――――――――――――――――――――

 補足説明

 勇気ももちろん転移しています。

 出会わせるつもりではあります。結構時間はかかりますが。


 異世界で今から主人公はガンガン楽しんでいきます。

 作者がやらせたいこと片っ端からやらせていきます。テンプレ万歳。テンプレ最高。俺TEEE素晴らしい。


 因みに今主人公が死霊魔法・死霊転移で元の世界に帰ろうとした場合、存在がしっかりと確立してない為。身体が世界を渡る衝撃でバラバラになります。

 ギリギリ生きてはいますが、素早く処置しないと死にます。

 

 途中出した界渡りという言葉は世界と世界を渡ることです。まんまです。

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