放屁暗殺兵器 プヴァトロンV2

石川タプナード雨郎

第1話 スカシーベ教授

    屁っぷり暦20000000スピー年ズバひゅ月ぷぺ日のとある日

スカシーベ教授は200年前にとある国の学者が発表した論文を携帯端末で読んでいた。

スカシーベ教授はある国家機関の研究者で兵器開発部門のトップに君臨している男だ。

これまでに様々な小規模の兵器を世に送り出しており軍部にも度々採用されている実績を持つ研究者だ。

その論文にはこう書かれていた。ある病院で大量に人が死亡した事件が発生したが

死亡した人の直接の死因は不明。

死亡した患者、看護師、医師も含めて年齢、性別もバラバラ、結果的に突発性の心停止で処理されていた。

ただ大量死亡が起こった中で一人だけ何の異常もなく生存した患者がいたのだ。

勿論この患者を中心に死亡が起こっているので警察も入念に捜査を行ったが、その患者と死亡した人物の因果関係は全く見つからず、ガスの類い、毒物も検出されず、事件事態は異常だが、犯罪性も一切見受けられない事から事件は迷宮入りとなり長い間データベース上を彷徨っていたのだ。

この論文も何故このような事件が起こったのか?の原因究明が論点ではなく後世に

解決を託す意味での論文で事件の詳細が克明に記録されていた。

スカシーベ教授は研究者であると同時に推理マニアで過去の複数同時死亡未解決事件の論文、資料を漁るのが職業柄、趣味になっていた。

スカシーベ教授は考察していた。

何故、この事案で兵器や毒物などを使用せずにこれだけの人数が死んだのだ?

さっぱり見当もつかない。

スカシーベ教授はおもむろにプヴァズマ式電子タバコのスイッチを入れ深く吸い込んだ。

時代は流れテクノロジーが発達してもタバコという古代の嗜好品は絶滅せずに生き残ったのだ。

スカシーベ教授は周りにはあまり知られていないが結構な屁コキだった。

近くに助手がいる時などは片尻を浮かせ、透かし屁にして巧みに音を殺しているため

気が付いている者はいない。

自身の教授室に籠っているときは、かまわずプリプリと放り散らしていた。

タバコという嗜好品を愛用している事も大いに関係している事だろう。

タバコを吸うという事は空気も一緒に沢山吸うからであるが。

今この論文を読んでいる時もブリブリと放屁していた。

くさっ。

自分の屁ながら殺人級だなと、ほくそ笑みながら

最近便秘気味だからまあ仕方のない事だな。と納得していた。

その時スカシーベ教授の脳髄に衝撃が走った!

はっ!

臭い時と無臭の時とでは何が違うのだ?

勿論、屁に含まれる匂いの成分量の違いだろうがそれを作り出す要因はなんだ?

はっ。まさかな。そんなことがあるわけない。出来るわけがない。

あったとしてもそれを検証する材料が少なすぎる。

この事件論文がソレと結び付られ解明されるにはさらに数百年の時間を要するのであった。

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