第12話 闘志を燃やす闘士たち
第一軍に属する織田木瓜の家紋が入った織田の精鋭部隊が先陣の槍を立てる為、続々と皆がこれ以上の戦い甲斐のある戦は無いと、ハッキリ言い切れる大戦に、奮い立っていた。
その中には前田家の家紋である梅鉢紋の旗も立っていた。
年齢は若く、しっかり戦える者たちが送り込まれ、守りに着く者の中にも歴戦の勇者たちが、若い者には負けぬと気の抜けない二大戦争であった。
歳は十二歳以上とし、十二歳以上の強さを持つ者のみが、参戦を許された。
そして北条家の一件は真田幸隆により参戦する事に決まった。まずは妖魔であろう者を教え、その者が妖魔であった場合、その事実は公表せずにと言うものであった。真田幸隆はこれに同意し、仮に参戦を惜しむような者しか妖魔退治に向かわせるつもりなら確かな証拠の元、これを発表するとして両者同意に至った。
妖魔となっていた松田憲秀はすぐに捉えられ、殺せない妖魔、つまりは妖魔の世界にある心臓を潰さないと、大きな問題になるとして、北条家は情報共有を要求してきた。真田幸隆はこの言葉に対して、返答を返した。
「ここまで来てもまだ御家が一番だとお思いなのか? 兵卒さえも、皆これ以上の戦いは無いと言っている最中、そのような詰まらぬ事は、我ら真田に恥じをかかせるものでしかない。天下に北条家ありと謳われた心は、どこぞにお捨てになられたのか?そのような者は、我が真田には一人もござらん。参戦の件も白紙に戻されて結構」
この返答に北条家は何も言えず、真田家に謝罪し、参戦を許されたいと再び返答してきた。真田幸隆は、これに対し返答を返した。
「我らは皆、日ノ本の軍として同一軍である。北条家の内情を知る私も、当然そう思っております。それよりもまず、十二歳以上の戦える者を出来るだけ多くの御出陣よろしくお願い致します」
織田家が三河に入ると徳川家の三つ
信長は斎藤家には若き勇者は竹中一族である事もあり、斎藤家に竹中一族を戻して斎藤家として出陣するよう伝えた。誠に持ってありがたき計らいと道三は返事を返した。
斎藤家の波を模した家紋の旗も列席し、十六歳の竹中半兵衛を筆頭に弟の十四歳の竹中重矩が
その背後には徳川家軍師の本多正信二十二歳、徳川家忍者棟梁の服部半蔵の十八歳
榊原康政の十二歳、本多忠勝の十二歳が初陣ではあるが、家中の多くの者が、既に認めるほどの強さを持っていた。
彼ら皆、東から来る向かい風に立ち向かうように、笑みをこぼしながら進軍した。
東軍として彼らを邪魔をするものは何も無かった。彼らは遠江に向かって真っすぐ進軍し続けた。
北部からは武田家のみの出陣の為、武将の年齢規制を緩くした。絶対に北へは行かせないだけの防衛兵は残すと決め、武田の恐るべき深紅の騎馬隊が続々と南下していった。それを率いるのは武田家の武田勝頼十四歳を筆頭に小山田信茂十五歳、望月千代女二十歳、真田家からは真田昌輝十七歳。
当然、望月千代女の参戦には、信玄も内部でも反対した。彼女は妖魔である人間の敵と戦えるのは、今までのような争いではなく、真の敵との戦いであると主張し、参戦が許されないのであれば、この場で死ぬ覚悟ですと、信玄を悩ませた。
妖魔と人間が一軍となって戦えないのであれば、今この時に生まれたのは、何かの間違いであったと彼女は言い、それからずっと死装束で座っていた。数日が経過し、信玄は根負けした。
これ以上は戦に支障をきたすと言い、しっかり食事を取り、睡眠も万全にして武田の紅の騎馬隊として参戦を許した。
真田幸隆に一任した北条家からは大軍勢が送られてきた。あまりの多さに信玄は内心でさすがは幸隆よと、笑みをこぼした。
三つ鱗の旗が、風で靡き、勢いのある北条家であると言わんばかりに、第一軍を自軍のみで編成したのは、北条家だけであった。
北条家からは、北条氏政二十二歳を筆頭に、大道寺政繁二十七歳、北条氏繁二十四歳、北条氏政二十二歳、北条氏邦十九歳、北条氏照二十歳、北条氏規……十五歳、板部岡江雪斎二十三歳、そして北条家風魔衆頭ノ風魔の小太郎二十一歳。
一族を多く出す事によって、北条家の意志と本気の想いとして、真田幸隆に送りつけた。
「どなたの軍から行かれますかな?」
「どなたとは御冗談がお好きなお方ですな」
「おやめなされ。お二人とも、我らは同軍ですぞ。先陣は織田家、前田利家が家臣、奥村助右衛門がお引き受け致す。くれぐれも士気を乱さぬようご注意なされ」見事な馬回しをして、奥村助右衛門は自陣に戻って行った。
「先陣は我ら西軍が務める。皆一軍団として、味方を守り、敵を打ち取り、その名は残らぬが、己が魂に刻み付けよ!」
「おおおおぉぉぉ!!」
「隊列は来た時と逆に致す。斎藤家の方は一番遠くからお越しになられたので、今のうちに御用件があるならば済まされよ。織田家は中軍だ! 未知なる敵故、それにも対応できるよう準備だけはしておけ! 徳川殿、先陣をお願いできますでしょうか?」
「勿論! 先槍の栄誉有難く承ります!」
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