ゆっきーの偵察任務
僕は
僕はもともとラノベはよく読んでいた。何なら読み専だけど、複数のWEB小説投稿サイトのアカウントだって持ってる。公式アプリもスマホに入れて、電車通勤の時によく読んでたなあ。
いい年して~なんていう人もいるけど、何かを楽しむことに年齢なんて関係ないよね。それに僕はエンジニアって仕事柄、ウェブ上のサービスに全く抵抗はないし。なんなら新しい試みや技術は、今でも大好物さ。
そんな僕がSNSで出会った友人達は、ほとんど年下の人ばかりだけど、みんなすごく楽しい連中ばかりだ。
黒い女豹になったエンジニア職のハタやんは、仕事の話もできるし僕の好きなオートバイの話でも気が合う。独身ってのもあってフットワーク軽いから、お誘いしやすいのは助かるねえ。
美少女エルフになったクリエイターのイッシーは、デザインセンス抜群なのは勿論、サブカル方面の知識が豊富だ。それに
あと某自動車メーカーの事を語らせると、その熱量がすごいんだ。まあ話が長くなるから、そっちはあまり振らないようにしてるけど。
そして、美少年翼人になってた ともっちは、あの中で唯一技術職じゃない。でもそこら辺の男より男……いや
でもいつも僕の方が先に酔わされてしまうんだけよなあ……解せぬ。
そんな僕が異世界で手に入れたのは、驚くほどの高身長と、見たことない程デカイおっぱい。いわゆる女戦士的なビキニアーマースタイルだけど、それでも恥ずかしくないほどのナイスなど迫力ボディだ。まさかこの歳になって、こんな楽しい経験ができるとは思ってなかったよ。長生きはするもんだねえ。
ストレートの黒髪はまるで少女のように艷やかだし。アイスブルーと赤みを帯びた金色のオッドアイは、今も周囲の目を惹きつけてやまない。両肩には
――しっかし鬱陶しいな、このベタつくような野郎どもの視線。
まあわかるよ? 今の僕、めちゃくちゃ美人な上に、なによりおっぱいデカいし! それにしても女の子って大変だね。いつもこんないやらしい目で見られてんの?
僕は普段、女性をまじまじと見るような失礼なことはしないけど、注意しないとなーって改めて思ったよ。
ところで僕が三人を先にBARに送り込んだのは、単独でこの世界を偵察したかったからだ。せっかく異世界に来たんだからね。いろんな種族の綺麗なお姉さんが集まる場所を、しっかり
長年の勘に従って、大通りからちょっと裏道に入った。その薄暗い路地には、きれいめなお姉さんがちらほら見える。
ほーらね、僕の勘は正しかった。見れば通りの片隅で、キャバクラの出勤前? っぽい美人のお姉さんが二人で楽しげに話している。ちょっと声をかけようと側に行ってみたら……小さっ! いや、僕がでかすぎ!? それに自分の乳が邪魔でお姉さんが見えないって、どんな状況だよ??
思わず呆れて笑っていたら、お姉さんたちの方から話しかけてきた。
「やだ、あなた随分大きいのね」
「すっごい大胆な衣装! ねえ、これからどこに行くの?」
それぞれ派手目な紫系と白系のスーツを着て、胸元を大きめに露出している二人は好意的に話しかけてきた。でも僕の乳が邪魔なのと、身長差のせいで見上げる首が痛そうだから屈んであげる。
「この辺初めて来たからよく知らないの。お手頃価格で美味しくお酒飲めるお店、探してるんだ」
「あ、私いいところ知ってるわよ!」
「うん、安くて美味いっていったら
二人は顔を見合わせて頷きあう。
「ねえ大きなお姉さん、一緒に行かない? 私たち、出勤の時間まで暇なのよー」
「今日は同伴もいないしねー」
ああやっぱり、彼女らは
「えーいいのー!? うれしいー! 僕のことはゆっきーって呼んでねー!」
「やだぁ、僕っ娘!? かーわーいーいー!」
「
ほんっと、ノリのいい娘たちだな。これは楽しそうだ。
「さっ、行こうゆきちゃん! こっちよ!」
僕がお姉さん二人に手を引かれて歩き出そうとした、その時。背後から複数の男の声が聞こえた。
「うっわ、みんなすっげえスタイルいいっすねー」
「ねえお姉さんたちさ、俺らとご飯食べに行かない? ご馳走するからさあ~」
三人の男たち……こいつらナンパか? ニヤニヤと笑いながら僕たちに近づいてくる。
そのうち一番ガタイのいい男……といっても僕より
「俺たち、いい店知ってるぜえ。なああんた、俺はデカイ女が好みなんだ。ほら、こっち来いよ」
うっわなにこいつ! 本当に気持ち悪い! その上これって、女の子に対してする事じゃないだろ!?
僕はイラッとしつつ、掴まれた左手を軽く振り払った……はずなのに。そいつは派手にひっくり返り、無様に地面に転がる。
「いってえ! 何しやがんだ、このデカ女!」
「やっちまえ!」
あーあ、こいつら本当のバカだ。
僕が女の子達に下がってるよう合図をした途端、残った野郎二人がいっぺんに殴りかかってくる。それにしてもこいつら、小っさいな。まるで子供の相手をしてるみたいだ。
僕はそのパンチを避ける必要性すら感じず、二人の拳をそれぞれ素手で受け止めた。
「何だこの女……」
「びくともしねえ……」
えーっとこれは本気のパンチなんだろうか? 本当に? 弱すぎない??
僕は『ペチッ』と当たっただけのそれを軽く掴み、両手を高く掲げた。するといとも簡単に男たちは持ち上がる。――なんだこれ、本当に子供じゃん。思わず笑った。
「やめろっ離せっ!」
「このメスゴリラがっ!」
メスゴリラねえ。女の子によくそんな暴言はけるよね? 失礼しちゃうわ。
本当にこいつらは性質が悪い。きっとこの界隈で同じようなことを繰り返してるんだろう。これはもう、容赦してやる必要なんてないね。そう思った僕は、そのまま二人を勢いよくかち当てた。
ゴッという鈍い音を立てて頭突きしあったそいつらを投げ捨てると、いい具合にさっきひっくり返した男の上にジャストミート。はい、お片付け終了。動けない二人に押しつぶされる形で、ガタイのいい男も動けずにいる。
まあその表情は完全に戦意喪失してるね。うん、もう大丈夫だろう。
それにしてもこの身体、ものすごいパワーだな。肩の鱗もそうだけど、人外にも程がある。まじまじと自分の手を見つめていると、背後から黄色い歓声が上がった。
「キャー!! ゆきちゃんかっこいいー!!」
「すてきー!! 抱いてー!!」
きゃあきゃあと喜ぶ女の子達に、僕はひらひらと手を降って応える。そしてそのまま僕は二人の綺麗どころに手を引かれて、
いやあ、本当にいい気分だねえ。
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