第6話


 「ほらね。やっぱり持っていた。今回は特別に見逃してあげる。その本を差し出して、ただの村人に戻りなさい。」


 出さなかったらどうなるのだろうか。


 いや、殺されるだけだろう。もう死ぬのはこりごりだ。


 そして、本を差し出した。


 (いや、待てよ、今の俺、凄い最強なんだよな。なら、こんなやつも、やっつけやれちゃうんじゃ…)


 そして、本を渡した瞬間に、手を構えた。


 「特大暴風魔法イムストーム!!!」


 すると、ダウガロンは吹き飛び、本を放ってしまった。その隙に、本を取って走り去った。


 「奴め。私の力を知らない愚か者よ。」


 すると、ダウガロンは空中に浮き、逃げる俺に対して手を構えた。


 「鎖型束縛魔法ウルヌ・ムルヌ…」


 すると、不思議な紫色に光る鎖が、俺の足や腕、そして、全身に絡み付き、身動きがとれなくなった。


 「クソ!!」

 「下等な人間が、私を倒せる可能性など無だということを知らないとは…おぉ。なんという愚か…その鎖は壊せない。ならば、そのまま身動きがとれぬまま、身体をじっくりと焼きつくしてもいいのだぞ。」


 しかし、俺は踏ん張ってその鎖を壊した。


 「あれ?」

 「何だと!?私の魔法を解いた!?ますます私の怒りを買いおって…」


 すると、ダウガロンは弓矢を召喚し、俺に構えた。


 「死ぬが良い…煌火炎矢インフェルノアロー…」


 燃え輝く矢が、俺を目掛けて飛んできた。これは、避けて防ぐべきではないと、瞬で判断した。


 「しつこいんですよ!貴方のミスでしょうが!」


 「特大反射魔法リクンルート!!!」


 その矢は、急に向きを変え、ダウガロンの方へと飛び立った。


 「何!?」


 彗星のごとく、その矢は夜空に美しく流れ、ダウガロンに的中した。


 「よし!倒した!!!いや、倒せてないかもしれない。早くこの場から立ち去ろう。」


 俺は、経験値の書を持って、森を駆け抜けた。


 ◆◆◆◆◆


 「アァ!小賢しい……これまでにない怒りを感じている……ただの村人のクセして…」


 ダウガロンは何とか矢を避けて生きていた。しかし、イソミ ユウキを逃がし、経験値の書も取り返すこと出来なかった。

 ダウガロンは転生長と天使という立場があり、天界会議には、必ずあの書を持って参加しないといけない。つまり、あと1週間後に控えるその、会議までに、経験値の書を取り返さない限り、天使らにそのことがバレてしまい、、最悪の場合、クビになってしまう。

 


 

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村人に転生しましたが、「経験値の書 ∞」を手に入れました plutoniumプルトニウム @tarusyo

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