第19話:配属決定

小早目線____




「王子中尉。戦闘補佐隊所属。六月から二ヶ月間北海道函館基地雪兎隊に派遣とする。」


「はい!」


「それまでは士官学校に残り、後輩育成と自身の訓練の期間とする。」




 北海道…函館…。


 函館基地は北海道の札幌本部の次に大きい基地だ…。


「函館基地の雪兎隊の隊長は知り合いで、お前のデータや話をしたら、是非短期でもほしいとおっしゃってな。しばらくは学校で自主訓練や後輩との訓練になるが、気を抜くなよ?」


「はい!」


 プレッシャーと高揚感でつい体温が上がる。


 関はどこに決まったのだろうか。


 関を探すために配属先の話をされ、高揚感が隠しきれない3年生がちらほらいる廊下を見渡す。


「小早。」


「関!」


「俺戦闘補佐で天照隊に1年間行くことになった。」


「天照隊ってエリートじゃん!」


 通称エリートコース。


 士官学校→戦闘補佐隊(天照隊等の特殊部隊も含む)→幹部というキャリアの事を指す。


 戦闘補佐隊で各地へ派遣され、様々な隊と交流をし武者修行を行う。ある程度経てばどこかの本部や基地に落ち着き、幹部への道を辿る。士官学校入学するメリットの1つとしてエリートコースへの道を辿る可能性が高まるという背景もあり、士官学校は倍率が高いが、ある程度の学力と神力で合否が決まってしまうため、エリートコースを辿る人間は時に選ばれた者のように扱われることがある。


 その中でも異質な存在が特殊部隊である。


 三貴子さんきし隊とまとめて呼ばれる天照あまてらす隊、須佐之男すさのお隊、月読命つくよみ隊の三隊とそこのOBOGから成り立つ伊弉諾いざなぎ隊と伊邪那美いざなみ隊がある。


【特殊部隊】


 三貴子隊


 天照隊:各士官学校首席卒業のみ入隊可


 須佐之男隊:各士官学校からの指定推薦1名ずつのみ入隊可


 月読命隊:民兵、士官学校問わず試験の結果による




 伊弉諾隊:天照隊、須佐之男隊、月読命隊に3年以上所属、少佐以上、各隊推薦者の男子のみ


 伊邪那美隊:天照隊、須佐之男隊、月読命隊に3年以上所属、少佐以上、各隊推薦者の女子のみ




 士官教官:士官学校→戦闘補佐隊or特殊部隊→士官教官試験


 民兵で月読命隊経験3年以上少佐以上→士官学校試験




 エリートコースの中でも天照隊に行くというのに


「まぁな。小早は?」と平然と返す関を見て、何だか複雑だ。


「戦闘補佐で二ヶ月は学校待機。それから函館基地の雪兎隊になるよ。」と返すと、


「北海道か…。遠いな。」と目線が少し床に落ちる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空が敵になった日。 吉川元景 @motokage_K

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ