第13話:敵前逃亡
関目線―――
映画は数少ない息抜きとして3人でよく来ていた。
安宅を連想させるのは良くないかと思ったが、これしかやり方が分からなかった。
小早も楽しんでくれたみたいだ。
「すいません。士官学校の関中尉と王子中尉ですよね?〇〇テレビの者ですが、インタビューよろしいですか?」
「すいません、人違いだと思うので…行くぞ。」
「う、うん。」
「安宅大尉についてお聞きしたいのですが!!安宅大尉は本当に仲間を守って殉職されたのですか!?それは士官学校のイメージのために作られた作り話では?」
は…?何言ってる?
「中尉。ダメ。」
小早がキレそうな俺を止める。
わざと名前を言わなかったのはさっきのおれの発言からか。
「そもそも安宅大尉は存在しない架空の人物では!?」
〇〇テレビだけではなく他の報道陣も待ち伏せしていたようで囲まれ動けない。
小早の細すぎる手首を握る。
「私たちには今の質問は答えかねます。」
こういう時小早は一気に参謀の顔になる。
「答えられないのはあなた達が見捨てたからじゃないのかな?」
違う…。
見捨ててなんかない…。
「安宅大尉と関中尉は食堂を攻撃された際、中山少佐と共に目の前の敵ではなく宿舎の方の敵の討伐に向かわれたそうですが、敵前逃亡ではないのかな?」
敵前逃亡だと…?
違う。
あの時すでに被害は甚大で、教官方が総出で集まっていて、押し返しているところだった。
でも宿舎には教官は誰もおらず、食堂の次に人がいたエリアであったのに応援に駆けつけれる人がいなかったんだ。
その時大佐から3人が応援に行けと司令があった。
でも、司令の内容は軍として広報部が公開しない限り言えない。
「っ…!」
「私はその場に居合わせておりませんが、個人的な意見を述べさせていただきます。士官学校の生徒は少尉以上の位を持ち、それに見合う実力も責任感もあります。その為敵前逃亡はありえないと私個人の意見として考えます。」
「中山少佐は安宅大尉と王子中尉の指導教官であったわけですが、教え子可愛さにそのようなことをしたとは考えられませんか?」
「私の知っている限り中山少佐はそのような人ではありません。そろそろ帰らせていただきます。」
「逃げるんですか!?」
「王子中尉は安宅大尉と恋人関係だったと言う話がありますが…!!それで安宅大尉が援軍を申し出たのではないのですか!!!」
「ちがう…安宅…くんは…。そんな人じゃ…ない。」
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