もうすぐ地球が終わるそうで
偽物
地球に隕石が降ってくるらしい
「1年後、地球が滅亡する」
そんな内容の放送がある日突然流れた。
どうやら10年前から直径20kmもあるらしい巨大隕石が地球と衝突することが判明していたらしい。
地球から脱出する為の宇宙船は既に完成していて、あとは避難するだけ。
もちろん世界中の人はパニック状態に。ただ、宇宙船がすでに完成していることから、あまり大きな暴動やらなんやらは起きなかった。
宇宙船に乗るチャンスは全部で20回あって、その全部に乗り損ねるとほんとに地球に置いてかれてしまう。
まぁ、よっぽど間抜けじゃない限りそんなことは無いだろう。そう思ってた。
高校2年生にして2年前から始めた独り暮らし。
せっかくの独り暮らしが…なんて思っていた。
宇宙船に乗る為の手続きとか、そういうのは特に無く、指定の乗り込み場所に行くだけで乗れる。
もともとは普通に一人で行くつもりだった。だけど同じアパートに住む友達に、「きっと最初の方は混むから、一番最後の宇宙船に乗らない?」
って誘われたもんだから一番最後、20番目の宇宙船に乗ることにした。避難の準備は衛生用品とか服とかその他諸々は国が用意してくれるらしいから、比較的簡単だし出発の前日にやった。あとは目覚ましをかけて寝るだけ。
友達との待ち合わせは朝8時、6時に目覚ましをかければまぁ間に合う。何かあったとしても乗り込みの締切は午後5時、乗り損ねることはまあ無いだろう。そんな軽い気持ちでいた。
夜遅くに目が覚めた、多分11時ぐらい。視界が滲んでて少し頭が痛い。
「明日に備えて寝なきゃなのに…」
そのまま布団に入っていたけどなかなか寝られそうにないから適当な服を着て散歩をする。
外は心地よい秋風が吹いていた。
「今のうちに地球を堪能しとこうかね…」
見慣れた街をなんの気無しに歩いていると、急に吐き気がして思わず道端に吐いてしまう。
多分緊張しているのかな…なんたって急な話だったし。
それにしても夜の東京は気持ち悪いぐらい静かだった。
多分人口の20分の19ぐらいはもう宇宙にいるんだろうな。
そう考えると少し寂しいような気もする。
ふと都市の方を見ると人はいないはずなのに建物に灯りがついていた。電気とか水道とかは私達が地球を出発したあとも稼働し続けるらしい、なんのためかはわからないけど。
キラキラ光るビル街の灯りを余計に寂しく感じた。
宇宙船はギリギリ人が住めるぐらいの星に向かっていて、その星を快適に人が住めるぐらいまで開発してから実際に住むようになるらしい。その星までの移動時間は15年、そこから開発にかかる時間は1年。その時間が長いのか短いのかはいまいちわからない。
意識がはっきりしてきてから家に帰る。
ぼんやりとソファに座っていると、ベランダにある天体望遠鏡が視界の端に映った。
「そうだ、望遠鏡でもう出発してる宇宙船が見えるかも。」
我ながら名案。早速、少し埃を被った望遠鏡を覗き込む。
しばらく覗いているとそれらしい物を発見する。
かなり間隔は空いているものの、たくさんの宇宙船が飛んで行っているのが見えた。
機体に大きく番号のようなものが書かれているのがわかる
「JPNはジャパンのことかな?てことはJAP TOKは日本の東京のやつってことか」
奥の方から順にJPN TOK 01、JPN TOK 02、03、04…18、19、20。
…20?
私が明日乗る宇宙船は20番目に出発するやつで、今見えた宇宙船の番号は20…
体が震えているのがわかる
もう一度望遠鏡を覗き込む…やっぱり宇宙船の番号は20。
ふとスマホを開く、日にちを見ると…9月3日、出発予定は…
届いていた手紙を探す…9月3日。
寝過ごしてる…完全に寝過ごしてる…これって…もしかして私…
「置いて…かれた…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます