第2話 再開

田舎町…


田舎といってもコンビニぐらいはあるよ。

歩いて20分程かかるけど…

そのコンビニの向かいに小さな喫茶店があるんだ。

そこで僕は働いている。


店の名前は(BEAT)ビート

席数はそんなに多くはなくて、カウンターに6席と

テーブルが5脚。

常連さん達の憩いの場。


そして僕の憩いの場でもある。

喫茶店までの道のり、

すれ違う人々に想いを馳せながら

仕込みの段取りを確認する。


気がつけば(BEAT)と印刷された玄関マットの前。


カランコロン…


ドアベルの音が心地よく店内に響く


「佐野くーん おはよー!」

「おはようございます!」


いつも元気な"道導みちどうアカリ"さん。

背は高くて170㎝はあるんじゃないかな

瞳の色はブルーでまつ毛は長く、

Eラインがとてもきれい! そしてポニーテールが良く

似合う! あとエプロンも…!


「今日は、出勤が早いですね」

「 まぁね~いつも佐野くんに仕込み任せっきりだから

たまには私がしないとね~」

「そんな気を遣わなくても大丈夫ですよ」

「 そう?佐野くんがそう言うならお言葉に甘えよう

かな~」


「こらこら…アカリ君を甘やかしては駄目ですよ」


「マスターおはようございます!」


喫茶(BEAT)のマスター。

身長は優に180㎝を越え、白髪でオールバック

鼻下に蓄えた髭が大人の雰囲気を醸し出し、

マダム達を狂わせている。


「アカリ君!少しは佐野君を見習いなさい」

「はいはい」「はいは一回!」「は~い」

「の.ば.さ.な.い!」

「へ~い」

「ははっ!アカリさん子供みたい!」


この場所は落ち着くとても…

だけど不安な事が…


(続いてのニュースです。◯◯県◯◯市◯◯町で

◯◯ ◯◯さんが散歩に行ったきり帰ってこず…

警察は何らかの事件と…)


「また行方不明のニュースですね、最近多すぎ

ませんか?」

「そうだね…佐野君も気をつけるんだよ」

「はい、マスターもアカリさんも気をつけてくださいね」

「私は大丈夫よ!連れ去られそうになったら

この拳で顔面ブチ抜くから!」

「シュッてね!!!」


「顔面ブチ抜くのはいいですが、早く

コーヒー落としてくださいね」


「は~い」


カランコロン…

ありがとうございました!

お客さんをお見送りした時に見える夕日が

たまらなく好きだ。


「佐野く~ん お先ー!」

「はい お疲れ様です」

「佐野君、すまないが最後の戸締まりだけお願い

しますね」

「はい、わかりました、マスターお疲れ様です」

「はい、お疲れ様…」


「フンフンフーン」

うろ覚えのメロディを口ずさみながらモップで

床を拭く。

「どんな歌詞だったけな、忘れちゃった」


カランコロン…


「あぁ…すいません今日もう閉店…アガッ!」


ドックンッ!


心臓の鼓動が頭に響く


汗が…冷汗が全身から溢れ出る

ドックンッ!!

体が動かないっ!いや!動いちゃ駄目だ…!

ドックンッ!!!

まるで警報器がなるように体が小刻みに震えている

ドックンッ!!!!

ここ日本だよね…

ドックンッ!!!!!

僕の、冷汗のわけは…

ドク!ドク!ドク!ドク!ドクッ…!


口に銃を突っ込まれているから…!!!


「アンタがサノ=ユタカね」


少女は僕にそう聞くとニヤリ!と笑った…






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