皆さん右に進んで下さい!って言われても左に進むバカ達

羽弦トリス

第1話ペプシ・コーラ

それは、中学生2年生の時だった。

友人が集まり、ジュースとお菓子を食べながら、ブラックバス釣り用のルアーを作っていた。

僕は普通にFantaを飲み、ピザポテトを食べていた。

僕より1コ上の田原君が珍しい飲みモノを飲んでいた。

"pepsi"と書いてある。

「田原君これって、ぺっぷしコーラってなんなの?」

ルアーのスプーンに糸を巻いてる田原君は、

「これは、ぺっぷしじゃなくて、ペプシ・コーラだよ。炭酸が細かくて美味しいよ!一口どう?」

僕は、初めてペプシ・コーラとやらを飲みいつものコーラとの違いが分からず、田原君は大人だなと思った。


さて、我々は学校近くの池に向かいバス釣りに出掛けた。田原君は自作のルアーは使わずに、カエルの格好をしたルアーを使用している。僕らは1個300円くらいのルアーだが、田原君は2500円もそのルアーに投資したらしく、みんなに格の違いを見せ付けた!

格好いいな~田原君は!

藻と藻の間を、田原君は狙った!


バシャッ!


田原君にヒットした。15分くらい格闘して、タモですくうとバスでは無くライギョであった。ライギョは歯が鋭く、素手では触れない。

田原君は泣きそうな顔で、ペンチでライギョの口からルアーを外していた。

カエルの形のルアーがライギョの歯でボロボロになっている。

2500円が一瞬でパー。

僕らは、ライギョがいるのを見て帰宅した。

田原君はどうにかカエルのルアーを修理しようとしたが、胴体が潰れ針も伸びている。

泣く泣く彼はそのルアーをボックスにしまった。

数日後、田原君はワームを買っていた。

さすが、先輩はカッコいい。目が輝いている。

因みに田原君のベルトは中学生から高校生まで、地元消防団のベルトであった。

やはり、彼はカッコ良かった。

今でも、ぺっぷしコーラとライギョの出来事は忘れられないな~。

顔はうっかり八兵衛に似ていたが……。

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