❤❤❤

そうだ、それからだった。先輩と裏庭で、お話しするようになったのは。


「先輩、この花の名前、知っていますか?」


「うーん?知らないな~?よく見かける花なんだけど…。」


「この花、オオイヌノフグリって言うんですよ。」


「オオイヌ?」


「はいっ!オオイヌです!」


そんな風に笑いあって、楽しかったな。

やっぱり私、先輩が好きなんだ。こんな真冬のなのに、先輩の事を考えると、胸がポカポカして、あったかい。

ホントに恋は魔法みたいで、私はいつもその魔法に操られている。

そう言えば、こんなこともあったっけ。



「っぐす…真琴まことの…ばかぁ!」


親友の真琴とケンカをして、泣きながら裏庭に行った放課後。


「うぅ…真琴…。」


ホントは、喧嘩なんかしたくなかった。美人でオシャレで、優しい真琴が私は大好きなのに。

そう思いながら、またこの大木の木の下で、泣いていたっけ?

すると


「どうしたの?」


って、部活中のはずの先輩が来てくれたんだ。


「ゆゆちゃんが泣きながら裏庭に走って行くのが見えたから、心配でこっそり部活、抜けてきちゃった。」


そういいいながら、悪い事に成功した子供みたいな顔でニヤッと先輩は笑った。


先輩の所属しているサッカー部が、そんなに甘い訳ではないのに。抜け出した事がばれたら、先輩が怒られてしまうのに。それでも先輩は私を心配して来てくれたんだ。

そう思うと嬉しくて、つい笑ってしまった。

さっきまで、あんなどん底にいたような気持ちだったのに。

ホントに恋は魔法のように、私を操ってしまう。そして私は、簡単に操られてしまうのだ。


「なにがあったの?ゆっくりでいいから、聞かせてくれる?」


「ま、真琴と…ぐすっ…ケンカしちゃって。」


「真琴?」


「わ、私の…とっても大事な人なのにぃ…。」


先輩に話しながら、またぽろぽろと涙がこぼれた。


「そっ…か。大好きなんだね…その子の事。」


「はい…なのに、私…。」


よしよし、と、先輩は私の頭をなでてくれた。

そして、それが嬉しくて、また別の意味で涙が出てくる。

その時


「ゆゆっ!!」


真琴が私めがけて走ってきたのだ。


「真琴!!」


ぎゅっ、と、いつものようにハグをしてくれる真琴。長い髪が、かおに当たってくすぐったい。


「彼女が、真琴、さん?」


そう聞いてくれた先輩に、一度真琴と離れ、大きく頷く。


「はい!あの、先輩。色々ありがとうございました!」


こうして真琴とも無事に仲直りができて、先輩と甘い時間も過ごせて、今考えれば結果オーライ、って感じかな?

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