あなたと過ごした甘い時間♡
@rikaoru
❤
この時間が、一番緊張する。
「ふぅ…。」
私のもらした吐息は、2月の寒さに白くなって姿を現した。
手に握った、頑張ってラッピングしたチョコレートが、私の火照った体温で溶けてしまわないか心配になる。それくらい私が、真っ赤な顔をしていることが自分でも分かった。
『先輩のことが好きです。もしよければ、これ、受け取っていただけませんか?』
何度も頭の中で行ったリハーサルも、今日で本番を迎えることになる。
先輩は来てくれるだろうか?
告白している時に誰かに聞かれてしまわないだろうか?
私のチョコレートを受け取ってくれるだろうか?
私が告白した後も、いつものように先輩は接してくれるだろうか?
考えれば考える程、不安は積もっていき、この場から逃げだしたくなっていく。
そもそも、私なんかが先輩に、告白してもいいのだろうか。
なんだかダメな気がしてきて、急に怖くなる。
しかもこんな『バレンタイン』という、まさに世間では恋一色に染まっている時に、急に呼び出しなんて…。
そんなの自分から、
「先輩に告白したいので、放課後、部活が終わったら、裏庭に来てください。」
って、言ったようなもんだよね!?
あ~最悪!!許されるのならこのまま帰ってしまいたい。
でも、先輩を自分から誘っておいて、そのまま帰っちゃった、なんて、そんな失礼なことできないし…。
あー!だめだ!!思考がマイナスにしか働かなくなってきた。
告白する前っていうのに…。
私はトボトボと歩き出し、一本の大木の前で立ち止まった。
そういえば、先輩と初めて出会ったのは、この大木の木の下だったっけ。
そんな事を思い出し、懐かしい気持ちが胸の中に広がっていく。
そうだ、先輩と過ごした甘い時間を振り返ってみよう。
そうしたら、きっと明るい気持ちに。先輩に告白したいっていう気持ちになれると思うから。
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