〜10話€別れ〜

デノールの2人組をユウに託した後、ミネト達は急いでセントラルシティに戻ってきた


ミズナ「あの人に言われた通りセントラルシティまで戻ってきたけど、この後どうするのよ」


アルト「俺は妹が心配だから一旦家に帰る!お前らはアマリリスに戻ってエンドウさん達を連れてきてくれ!」


そう言うとアルトは急いで民家の方向へ走っていった

残った3人もアルトに言われた通りアマリリスへ向かうことにした

その頃、外の様子がおかしい事に気づいたエンドウによってアマリリス内でも戦闘に介入する準備がされていた


エンドウ「点呼をとる!プードル二軍部隊第1小隊ナギサ、カイ、スケ、マナト!第2小隊テツオ、カズマ、タツヤ!」


アラン「エンドウさん!こちらもユウさん以外は全員揃っています」


エンドウ「よし!これから外の状況調査及び戦闘に備えて全員で協力しながら行ってもらう!何があるか分からない…頼むから全員死なずに帰ってきてくれよ!出動!!」


全員「おう!!」


緊急で作られた対策チームがアマリリスを出てセントラルシティに複数人で散らばっていった

それに少し遅れてミネト達3人がアマリリスのエンドウの元に到着した


ミズナ「エンドウさん!!」


エンドウ「おぉ!ミズナくん!それに2人とも!あれ?アルトくんは?」


ミズナ「アルトは家にいる妹さんが心配でそっちに向かっていきました」


エンドウ「民家の住民は警備がしっかりしている宿泊施設に向かわせたから大丈夫だとは思うが念のためピッ・・・民家方面に向かっている隊員はいるか?・・・よし、お前らなら安心だ!アルトくんと妹さんがいる民家の住所をウチダさんに送ってもらう!直ぐに急行して見つけ次第保護してくれ!」


無線で連絡を受けたテツオ、カズマ、タツヤの3人がアルトの元に向かった


ミネト「エンドウさん、マモルとミズナをお願いします」


そう言ってミネトは外へ向かおうとした


ミズナ「ちょっと!ミネト!どこへ行く気!?」


ミネト「何か嫌な予感がするんだ…ここでじっとはしていられない」


エンドウ「ただの正義感なのかそれとも、これも灰色の気の力なのか…」


ミズナ「じゃあ私も行くわ」


ミネト「俺だけで十分だ、そこでマモルと一緒にいてやってくれ」


そう言うとミネトはミズナを置いて、走ってアマリリスを後にした


アルト「アカネー!いるかー?」


アカネ「お兄ちゃーん!ここだよー!!」


宿泊施設に向かう行列の最後尾にいるアカネをアルトは見つけた


アルト「お前なんで1番後ろにいるんだよ!!出遅れたのか!?」


アカネ「ううん!私はお兄ちゃんが守ってくれるから最後で良いよってみんなに順番譲ってたの!」


アルト「相変わらずお前は良い子だな」


アカネ「まぁね!私ももう16歳だからね!」


アルト「お前まだそれ言ってんのかよー」


アルトが笑いながら後ろを振り返り様子を見ていた時だった…

本当に一瞬だった…

たわいもない話をしていた…

本当に微笑ましい兄妹の日常だった…

しかし…別れは突然だった…

それは親と同じように…


アカネ「キャッ!!」


国民「ん?キャー!!!!」


突然アカネの後ろにワープホールが開き、そこから出てきた3人目のデノール国家の兵士がアカネを気絶させ、担いでワープホールに戻ろうとしていた

周りの国民はパニックをおこし、アルトも異変に気づき振り返った


アルト「アカネー!!」


能力の発動の時間が無いことを悟ったアルトはデノールの兵士がワープホールに入るのを阻止するため、体当たりをしようとしたが敵はそれをひらりと避けた

しかし、その影響でワープホールは閉じた


???「ちっ自分が通るためのやつは開くのに時間がかかるっつぅのに」


アルト「おいてめぇ、アカネから手を離せ」


???「そうはいかない、この子はあの方が必要とされているからな」


アルト「力ずくでも奪い返してやる!!」


アルトは能力を発揮させ雷剣で敵を切ろうと飛びかかった


???「おいおい、この子が傷ついても良いのかぁ??」


敵の兵士がアカネをアルトの方に向けたため、アルトは雷剣の発動を止めてしまった


???「やはり他の国の戦士は軟弱者ばかりだなぁ!?」


敵の兵士は、武器を消して生身で飛びかかってきたアルトを思いっきり殴った

その衝撃でアルトは宿泊施設の壁にぶつかって動かなくなった


???「ザクソンとライディークを倒したやつもいることだし、早いとこ帰るとするか」


カズマ「待てー!!」


タツヤ「ピッ・・・エンドウさん、敵に遭遇しました」


遠くから第2小隊の3人が走ってきた


???「また敵か、めんどくせぇが戦力を減らせとも言われてるしなぁ」


テツオ「アルト!!?」


カズマ「おい!あれ!アルトの妹なんじゃないのか!?」


タツヤ「エンドウさん、緊急事態です!アルトくんがやられ、妹さんと思われる少女が敵に捕らえられてます」


無線越しにタツヤの声が聞こえたミズナは外に飛び出して行った


エンドウ「あっミズナくん!・・・そっちにもうすぐミネトくんが行く、そして今ミズナくんもそちらに向かって行った!他の隊員達もそっちに向かわせた!あと少し耐えてくれ!!」


タツヤ「ピッ・・・だそうだ2人とも」


カズマ「まぁやるしかないよねぇ」


テツオ「アルトの仇は俺がとる」


タツヤ「よし!いk…」


ブシュッ!!!


???「お取り込み中のところ悪いんだけどさ、こっちには時間が無いわけよ」


突然タツヤの目の前にワープホールが開き遠く離れた敵兵士の手とその先のナイフがタツヤの心臓を貫通していた


カズマ「タツヤー!!お前!!」


ブシュッ!!!ブシュッ!!!


???「はいはい、君たち2人も仲良くね」


テツオ(さっき駆け寄った時、あいつはまだ息をしていた。お前は死ぬなよアル…)


カズマとテツオも心臓を貫かれて倒れていった


???「よし、これで任務完了っと!後は帰るためのワープホールを生成するだけだ」


ミネト「おい待てよ…」


???「おいおい、まだ来んのかよぉ人気者は辛いねぇ~」


到着したミネトが見たものは衝撃的なものだった

それを見たミネトの目は瞳孔が開き、今までに見た事がないほど殺気立っていた

ミネトは敵兵士に向かって何かの能力を発揮させながら一直線に走り出した


???「あーあ、もう少し遅く来ればお前も死なずに済んだのになぁ」


ミネトの前にワープホールが出現した


ミネト「みんなを殺ったのはこれか!ミネウチ…キャパシティ!!」


そう言うとミネトはワープホールに向かって攻撃した

するとワープホールの大きさが腕が通らないほど小さくなっていったのだ


???「なんだと!?しかも貴様のコア…そんな報告受けてないぞ…」


敵兵士は焦った表情でミネトから距離を取り、また違うワープホールを開き狂犬を数十頭出してきた


ミネト「クソっ数が多すぎる…」


ミズナ「オーシャンウェーブ!!」


ちょうどそこにミズナが到着し、能力を発揮した

道の中央に大きな波が発生し大量の狂犬が流されて行った


ミネト「よし!今だ!」


ミネトは敵兵士に向かって走り出した

そして敵ももう帰り用以外のワープホールを使い切ったようで焦った表情だった


ミネト「もらったー!!」


ミネトが能力を発揮しようとした瞬間、何かが右を通過して行ったのが見えた

アルトが倒れていた方向に狂犬が走っていったのだ


ミネト「くそぉ!!」


テツオが倒れながらも最後の力を振り絞って、無線でアルトが生きていること、守って欲しいと言っていたことを思い出したミネトはアルトの方に行き、狂犬を倒した

そして、その衝撃でアルトが目を覚ました


アルト「はっ!!アカネは!?」


???「ちと手間取ったがこの子は貰っていくぜ!さらばだ哀れな兵士たちよ!」


アルト「アカネー!!!!!!!」


無情にもアルトの目の前でアカネと敵兵士はワープホールに消えていった


アルト「おい!ミネト!てめぇ何でアカネを見捨てたんだ!」


ミズナ「ちょっとアルトやめなよ!ミネトはテツオさんがあなたを守ってくれって死に際に言ったことを責任もって守ったのよ!」


アルト「え…テツオさんが…」


アルトは妹が連れ去られパニックで狭まっていた視界を広げ、血を流し倒れているテツオを見つけ、近寄っていった


アルト「嘘だろ…あのテツオさんが…」


アルトの記憶が蘇る


テツオ『アルト!俺から言えるのは1つだけ、守れ!』


アルト『はい?何言ってんですか、戦いは攻撃あるのみでしょ!』


テツオ『お前には大切で守りたいと思う人はいないのか?家族でも、恋人でも、友達でも良いぞ!』


アルト『まぁ妹がいますけど・・・』


テツオ『じゃあ、もしその妹さんが敵に襲われた時を想像してみろ!お前は敵を攻撃するか?妹を守るか?』


アルト『そりゃ…守りながら攻撃する!!』


テツオ『あっはっは!お前面白いな!?』


アルトはいろんな感情が込み上げてきて大きく泣き出した


アルト「あぁぁぁぁ!!!アカネ!テツオさん!!俺はどうしたら良いんだぁ!!!」


ユウ「なんてことだ…少年!何があった!」


駆けつけたユウがミネトにここであったことを聞くと


ユウ「・・・アルトと言ったか、一緒にスプーンへ来てみないか?お前と同じ境遇の人を僕は知っている」


アルト「・・・行きます。どっちにしろ明日からまたコイツらと訓練するのは俺には出来ないですから」


アルトはユウやアランたちと共にスプーン国家へ行くことに

そして、プードルは被害にあった場所の復興や今回の騒動の状況整理で忙しくなる

ミネトたちの訓練は当分先になりそうだ…


ミネトは少し泣きながら俯いていたミズナに近寄り、指で涙を脱ぐい、手を差し出して声をかけた


ミネト「ミズナ、帰ろう」


ミサイルによる町の破壊で塵が降り続ける中、傷だらけのミネトの顔にはいつもの優しい表情とまだ消しきれていない敵への感情が影を残していた・・・

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