第29話ご主人様のお願いなら♥
「皆さんこんにちは♥忘れている人、初めての人私は
溺
愛深は休みの日に私服に着替えて祐介の家の前で呼び鈴を押すか押さないかもじもじしていた。
そうこうしていると祐介の家のドアが開いて中から誰かが出てきた。
「もしかして祐介の友達?」
出てきたのは祐介の母親だった。
母は家から出ると入り口に立っていた冴子に気が付き声をかけた。
「あ、は、はい。ごしゅ」
『ごしゅ?』
「じゃなくて、お、お母さま、ゆ、祐介さんはおらっしゃいますか?」
『お母さまって、恥ずかしいわね。やっぱり祐介の友達なんだ。あの子もこんなかわいい子が友達なんて隅に置けないわね。祐介なら2階の部屋にいるから入ってって。私こっれから買い物に行ってくるから祐介が何か言ったら伝えといてくれる?」
「え?あ、えっとは、はい。」
『それじゃ、ゆっくりしてってね。』
祐介の母は言うことだけ言って家を出て行ってしまった。
そして愛深は祐介の母に変わって家の中に入って行った。
「こ、ここがご主人様の家♥」
玄関に入ると愛深はあたりを見渡していた。
目の前には2階へと津木菟会談が伸びていて右手にはリビングへと続く扉左には洗面所に続く道が伸びていた。
自分のご主人様の家ということで愛深は頭がすでにパンク寸前だった。
「はっ、いけないいけない♥こんなことしている場合じゃない♥とりあえず家の写真とっとこ♥」
愛深はバックからスマホを取り出して祐介の家の写真を撮り始めた。
バッ!
写真を撮っていた愛深が首を回し階段の上を急に見つめた。
「今、ご主人様がいた?あっそっか、2階にいるから勘違いしたのか♥って写真撮ってる場合じゃない♥これじゃ、私変質者じゃない♥。」
愛深は自分がしたことを思い返して自分の頭をぽかぽか叩いた。
「今はご主人様にお母さまがどこに行ったのかを伝えなくては。その後には・・・ふへへ♥確か、ご主人様は2階にって、お母さまが♥」
愛深は靴を脱いで家に上がり2階への階段を上って行った。
2階のたどり着くと部屋が2つあったがすぐに祐介の部屋を愛深は見つけた。
扉に名前があるわけでもなく2つの部屋の扉はどちらも同じ扉だった。
「この部屋からご主人様の気配そして・・・香りがする♥
この扉の向こうにご主人様がハァー♥ハァー♥♥ハァー♥♥♥」
息を荒くして愛深は今扉を開けようとドアノブに手を乗せた。
ドアノブを下におろし扉を手前に引き扉を開け祐介の部屋を初めて目にした。
目を輝かせ、期待に胸を膨らませ愛深は祐介の部屋を視界に入れた。
「こ、これがご主人様の、部♥!屋♥♥!!」
部屋に入るとすぐに目に映ったのはベッドだった。
壁にはカレンダーやポスターが張ってあり、部屋に入ってすぐ右には勉強机があってその隣には本が大量に並んでいる本棚もあった。それなのに愛深は真っ先にベッドに視線が言った。
それはベッドの上に不自然に膨らんでいた毛布があったからだ。
そして少し毛布が動いた。
「わ、私の目の前にご、ご主人様が♥」
愛深は真っすぐにベッドを目指し毛布に手を伸ばした。
ここで時間を少し戻して愛深が写真を撮っているところに戻る。
「よし、やっと買い物に行ったな。これで俺だけの楽園が。」
祐介は母親が出かけたことを知って階段を降りていた。
しかしすぐに祐介は2階に戻った。
「な、なんで愛深が俺の家にいるんだ!?え、え、な、なんで?どうして?
そ、そうだ。もしかしたらスマホに何か連絡があるかもしれない。」
祐介は音を立てずに静かに自分の部屋に戻って行った。
部屋に戻るとスマホを手に取り頭を抱えた。
「やっぱり。今日家に来るって連絡来てる。あの人行動力とか少し怖いけどこういうところは律儀なんだよな。」
祐介は顔を上げドアノブに目を向けるとドアノブが下がった。
「な、なんで俺寝たふりなんかしてるんだ。しかも急に毛布にくるまったせいで態勢がきつい。少しだけ足を動かして。」
祐介が毛布にくるまっていると毛布がゆっくりと剥がされていった。
毛布がはがされると祐介はまだ寝たふりを続けていた。
それに愛深は
「ご、ご主人さま、まだ寝ているんですね♥寝顔もかわいい♥」
気が付いてはいなかった。
「ほんとに何で愛深は俺の家の俺の部屋にいるんだ。それになんで俺の毛布まで
剥がすの!?こうなったらタイミングを見計らって起きたふりをすればって、
ん?なんだこの音?」
シュル、パチッ、シュルシュル
布のこすれる音?いったい俺の部屋で何が起きてるんだ!?もう待ってらんない!
「ふ、ふあぁ。よ、よくねた、な!!!???」
『え♥!?」
元々目が覚めていた祐介の目は部屋で起きていた光景に余計に目が開いた。
祐介の部屋で祐介が寝ていることをいいことに愛深は着替えていた。
しかもまだ着替えの途中だったため祐介は愛深の下着姿を見てしまった。
「ク、黒と白の縦縞」
『ッ!』
愛深は祐介が自分の下着を見ていることを知ると手で隠したがすべてを隠しきれないでまだ下着が見えていた。
愛深は恥ずかしく目をつぶって祐介から顔を逸らした。
だが、愛深はゆっくり目を開け祐介の方を向いた。
まだその顔には恥じらいが残っていた。
「ご、ご主人様が、その、見たいのなら、ど、どうz」
愛深が下着を隠していた手をどけようとすると祐介がさっきまで自分がくるまっていた毛布を愛深にかけて体を隠した。
「え?ご主人様?」
『ごめん。別に見ようと思ってみたわけじゃなくて。なんか音がするなーと思って目を開けたらまさか着替えてるなんて思っても無くてそれで、」
ピンポーン
祐介が話していると家の呼び鈴が鳴った音が聞こえてきた。
「ちょっとごめんね」
祐介は立ち上がり窓から外の様子をうかがう。
そして、想定外の人物に目が再び大きく開いた。
視線を感じたのか呼び鈴を押した本人はあたりを見渡し祐介がこちらを見ていることに気が付き手を振ってきた。
「おーい、祐介ー!」
そう呼ぶのは冴子だった。
祐介は苦笑いしながらも手を振り返した。
そして次の瞬間祐介は口が開いてしまうほど驚いた。
冴子がいて見えなかったが冴子の後ろから美花の姿があった。
「あの、ご主人様♥?大丈夫ですか♥?」
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