第24話獣の知り合い?

 2人が付き合ってから翌日、2人はあまり人には知られないように別々に登校していた。あまり大ごとにはしたくなかったため。


「なあ、祐介!お前天乃さんと付き合ってるって本当なのか!?」

「ねえ、天乃さん!狩野君を選んだ理由って?どっちが先に告白したの?」


 2人が学校に着いたときにはすでに2人が付き合っている事は学校中に広まっていた。


「なあ、祐介。お前だけは俺たち、彼女無し、略称ノンガールフレンドの仲間だと思っていたよ。」


『前から思ってたけどそれ、全然略称じゃないよな。それに頭悪そう。』


 祐介が席に着くといつも仲良く話し合っていた友人複数人が祐介を取り囲んでいた。

 その中の一人が祐介の肩に手を置く


「貴様だけは決してユルサーン!!キェェェェェ!!」


 祐介を取り囲んでいた友人たちが襲い掛かる。

 命の危険、そして周囲の目の危機を感じとった。


「あ!あんなところに期間限定、季節限定、数量限定、地方限定の何かがー!!」


『なにー!?』

『なんですと!?』

『ゾボザ!?』


「よし、今のうちに。」


 祐介から目が離された隙を伺って友人たちの間を縫って教室を抜け出した。


「嘘に決まってるだろ、それに、お前らの中に人間じゃない奴いるぞー!!」


『ま、まて祐介ー!何かっていったい何なんだー!!』


 祐介は何とか友人たちからは逃げ切るこはできた。


「狩野、何やってるんだ。朝のホームルームだぞ。」


『は、はーい。』


 しかし、先生からは逃げられなかった。

 その後も詰められては騙し、逃げるを繰り返した。

 その都度、授業の為教室に戻らねばならなかった。


「なあ、そろそろ勘弁してくれよ!もうお昼だぞ!!」


 繰り返していくうちに時間は過ぎ、お昼休みの時間になってもまだ祐介は追われていた。

 祐介は何とか隠れるために授業で使われる化学室に逃げ込んだ。

 9つの机があり椅子が机の上に上がったままだった。


「いつまで追ってくるんだよあいつら。まるで獣だよ。あんなフレンズは嫌だよ。」


『あの、用が済んだら出て行ってください。』


 誰もいないと思った化学室の奥から声が聞こえてきた。

 机で姿は見えなかったが声がしたほうに祐介はゆっくり歩き始める。


「だ、ダメ。こっちに来ないで!」


 それと同時に声の主の姿を発見した。


「なっ!」


 祐介は声の主の姿を見て思わず声を出した。

 その姿はショートの髪に丸眼鏡をかけ体が見えないように机の影に体を丸めて隠していた。

 それだけならよかったが、祐介が驚いたのはほかにあった。

 それは、犬の耳、そして尻尾が彼女にはついていた。


「こっち見るなー!!」


 バッ!!

 自分の姿を隠すためスカートを自分でめくり姿を隠す。

 そしてあらわになる彼女の白の下着。


「ちょ!見えてる、見えてるって!」


 と、言いながら祐介は手で目を隠す。

 指先からは覗いていたが。


「キャー!!」


 それに気が付いた彼女は恥ずかしくて顔を赤く染め、大きな悲鳴を上げた。




 2人は上がっていた椅子を下ろし向かい合って座っている。

 互いにお昼ご飯を食べながら。

 祐介は気まずそうに、彼女はまだ恥ずかしがりながら。


「えーと、俺は狩野祐介1年よろしく。」


『あたしは頼桐 態乃なりきり たいの2年生です。』


「先輩なら敬語はいらないですよ。普通にしてくれればいいですから。それで、あそこで何を?」


 いきなり祐介は学校の他の生徒も使う化学室で犬のかっこをしていたのか核心に迫った。


「・・プレ」


『え、なんて言いました?』


 態乃の声は小さくうまく聞き取れなかった。


「コスプレ。」


『コスプレ!?』


「シー!!」


 大声で言った祐介の口を態乃は両手で口をふさいだ。


「お、大声はやめて。」


 祐介の口を押えながら祐介の目を見ながら言う。

 祐介が首を縦に振るとゆっくりと手が離れていく。


「なんでここでコスプレなんか?人に見られたらどうするつもりなんですか?」


『こ、ここでしか手にできないものがあ、あるから。人が来た時、いつもはいつもは声を出せばみんなどっかに行く。』


「ここでしか手に入らないもの?」


 そう言うと態乃は席を立ちあがると化学室の奥へと姿を消した。

 数分後態乃は両手にフラスコ、試験管そして白衣を着て現れた。


「これが、ここにしかないもの。」


『写真いいですか。』


 祐介はすぐさまズボンのポッケからスマホを取り出しカメラを向けようとする。


「ダメです。NGです。」


『そ、そんな。』


 祐介は落ち込みながらスマホをポッケに戻す。


「だとしても、ここでやるのはやっぱり危険なんじゃ?俺みたいな人が今までいなかったのが不思議ですよ。」


 祐介がそう言うと態乃は持っていた器具を机の上に置いた。

 そして見るからに悩まし気な顔を見せた。


「なにか、訳があるんですか?」


『実は、』


 そう言って態乃はスマホを画面を祐介に見せた。


「フォロワー5万人!?こ、これ本当に先輩なんですか?」


 祐介が見たのは世界でもほとんどの人が知っているToretterのプロフィール画面だった。

 そして、態乃が画面を上にスワイプすると多様な格好をした態乃の写真が多く出てきて、その中の1枚には祐介が見た犬の耳と尻尾が付いた制服姿の写真があった。


「あれ?これ写真を撮ってる場所ってもしかして。」


 画面を見ていた祐介が態乃に顔を向けると


「そう、ここ。化学室。」











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