第3話夢は現実に?
祐介は美花に連れられ学校へと向かった。
その道中でお互いたわいもない話をしていくうちに意気投合した。
「君なかなか面白いね。・・・ねえ、もしよかったら・・」
美花は少し頬を赤く染めながら祐介に何かを言おうとした瞬間
「ヒューヒュー朝からお熱いねーwww」
「そんな男よりも俺らとどっか遊びに行こうぜww」
そう言ってきたのは見るからにチャラそうな男二人組だった。
2人はぐいぐいと近づいてきて祐介を片手で突き飛ばし美花を逃がさないように挟んだ。
「やめてください。」
美花は小さな声でそういうが男たちはお構いなしだ。
よく見ると美花の手は震えていたそれを隠すように両手を前で合わせていたが震えているのが分かった。
「そんな声じゃ、何言ってるか聞こえないなー?ww」
「ほらさっさと行こうぜ」
男のうちの一人が美花の腕をつかもうとした瞬間その男の頬に拳が飛んできた。
拳が当たると男はのけぞりながらしりもちをついた。
拳を飛ばしてきたのは祐介だった。
「彼女から離れろ!」
祐介は殴ってない方の男を睨んだ。
まるで獅子のように。
「てめえ、何しやがる!」
男は最初はビビりながらも祐介に殴りかかった。
祐介はそれを余裕で躱し、右こぶしでカウンターアッパーを打ち込んだ。
拳が当たると男は後ろに受け身も取れずに倒れた。
最初に殴った男が近づき起こそうとするが気絶していて起きることはなかった。
男は祐介に土下座して許しを乞う。
「俺たちが悪かった。もうこんなことはしないから見逃してくれ。」
先ほどまでの姿とは打って変わってまるでこれから狩られる小動物のようだった。
祐介は男の前でしゃがみそっと耳打ちをした。
「早く消えろ。」
男が祐介の顔を見ると顔は笑っていたがそのうちは一切笑っていないことが分かるような顔をしている。
「ヒィ」
と男は情けないような声を上げながら立ち上がり気絶している男の腕を肩に回し引きずりながらその場を去って行った。
2人の姿が見えなくなると
「祐介ー♡!あなた本当に素敵ぜひ私と付き合って♡!」
美花は祐介に体を押し付け腕にしがみついた。
「ハッハッハッハッハー、ハーッハッハッハッハッハー」
「・・い・・・おい・・・おい!!」
祐介は誰かに呼ばれ目を覚ました。
「なんだ夢か。」
祐介は夢だと知り落ち込んでいると絡んできたうちの一人に胸ぐらをつかまれて立たされた。
いきなり胸ぐらをつかまれて息が苦しくなった。
祐介は最初に突き飛ばされたときに塀に頭をぶつけ少しの間気を失っていた。
「何のんきに寝てるんだよ、彼女は持っていくからな情けないぼうや。」
男は気味が悪い笑顔をして掴んでいた手を離し、祐介はその場でしりもちをついた。
美花の方に顔を向けると美花はこちらを見ていた。
その体立ちながらも身を細めていて目からは今にも涙がこぼれそうになっていた。
声も小さく何を言っているのか聞こえないが何を言ったのかは分かった。
「たすけて」
美花は祐介に向かって確かにそう言った。
男たちはそんなことに気にもしないで美花を連れ歩き始めた。
「ねえ―君名前はなんていうの?ww」
「最初はどこいこっか?」
男達は美花の背中や肩に手を回しながら一方的にしゃべっているが美花は一切話さなかった。
「釣れないなー、無視しないでよー」
そう話している男の肩に誰かがポンポンと叩いた。
「あ?なんだy」
男が振り帰ろうとした瞬間頬に拳が飛んできた。
その拳の正体は祐介だった。
よし、不意を突いての一発これなら
「痛ってーな。何すんだよ!!」
しかし、先ほどまでの夢とは違く拳が当たっても男はビクともしなかった。
その結果帰って男たちを怒らせるよなことになってしまった。
「せっかく大人しくしてたから見逃してやったのによー!てめえの一発なんかへでもねーんだよ!!」
そこからは一方的だった。
殴られた男は祐介に一発腹に殴った。
祐介はあまりの痛さに腹を押さえながら塀まで下がるとその場でうずくまった。
それでも男は祐介を殴るのをやめなかった。
「この俺に逆らうからこんなことになるんだよ!」
男はうずくまる祐介の背中、腹、頭と乱雑に蹴りまくる。
これでもかと言うような勢いで。
「もうやめて!!」
その声を聴き男は祐介を蹴るのをやめた。
男を止めたのは美花だった。
「なんでも言うこと聞きますから、もうやめてください!!!」
祐介は朦朧とする意識の中聞こえてきた美花の声を聴きその姿を見ると
体は震え、涙がこぼれ落ちていた。
「お願いですから、もうやめて。」
美花はその場で腰から崩れ落ちた。
美花の言葉を聞き祐介を蹴っていた男は美花の元へと向かう。
「最初からそうすればこうはならなかったんだよ。」
男は泣き崩れた美花の顔を覗き込みながらゲスな笑みを浮かべた。
「大丈夫、あいつは死んでないから。ほら、立って。早速行こうか?」
美花は必死に涙をこらえ静かに首を縦に振る。
男たちは美花の腕をつかみ立たせその場から再び去ろうとする。
くそ、くそ!俺にもっと力があれば、美花にこんな目に合うことはなかったのに。
祐介は気を失いかけるその時自分の無力さを悔やんでいた。
「そこの者ども、待てー!!」
気を失う瞬間どこからともなく女性の声が聞こえてきた。
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