09

「待ってください!オズウェル様!」

 レジーナ姉様の声が聞こえ、ユリウスさんと隠れながら声がした方へ向かった。月の柱であるオズウェルと、レジーナ姉様が対立している。美男美女が薔薇に囲まれているスチルだ。いい雰囲気とは言わないけれど。


「…何だ?」

「私は盾ではなく、貴方の剣となるためにこの腕を磨いているのです。私の志を否定しないでください!」

 このイベントで重要なのは二人の気持ちがどうなっているか。レジーナがオズウェルを好きであれば死亡率が最も高い。気になっている位だとグレーゾーンなんだけど…。


「先祖返りのハーフエルフであるお前が選ばれたのは、魔法のコントロールが優れているからだ。次の候補となると、お前の妹になる。」

「…ケイティのことですの!?ケイティはまだ小さいのですわよ!!それに何故魔法を使えることを知っていますの!?」

 ちょっと待ってくれ。私も候補に入ってたのか。驚いてユリウスさんを見ると、彼はニコニコとしていた。コイツも知っていたのか!!


「…お前は魔力が見えるだろう。妹がいつから魔法を使えていたか…それを知っているなら、候補となる理由はわかるだろう。」

「…周りと違う力を持つことの怖さは私もよく知っていますわ。そして、ケイティがそれを隠そうとする気持ちもわかりますわ。」

 しんみりとした空気の中、突然、熱風が吹いた。何故か、レジーナ姉様が炎を身にまとっている。


「…ケイティの幸せを壊すものなら、私が相手になりましょう。」

「ふっ、決闘と言うことか。いいだろう。」

 オズウェルがそういうと、今度は冷気が漂う。矢のような形の氷がレジーナ姉様に向いている。


 姉様は暴走しているし、オズウェルは楽しんでいるし…隣にいるユリウスさんは暖かく見守っている。一体、どうしたら良いの!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る