プロローグ

あなたは、ご存じでしょうか。

とある場所にある、ロマンス女王が治めるロマンス王国と、ギャグ王が治めるギャグ王国の存在を。

ああ、誤解しないでくださいませ?

ロマンス女王は、やたらめったらロマンスにうつつを抜かしているようなふしだらなお方ではございませんよ?

お美しくて慈愛に満ちていて、国民からとても慕われている素晴らしい女王です。

・・・・まぁ、難を申せば、いつ起爆装置を作動させてしまうか分からない怖さをお持ちだ、ということくらいでしょうか。

え?

何の起爆装置か、ですって?

それは・・・・私の口からはとても申し上げられませんわ。おほほほほ。

一方のギャグ王も、いつでも阿呆みたいにギャグばかりおっしゃっているようなお方ではございませんよ?

眉目秀麗、聡明寛大。それでいて庶民派であらせられて、やはり国民からとても慕われている素晴らしい国王です。

・・・・まぁ、難を申せば、時限爆弾をお持ちだ、ということくらいでしょうか。

え?

どのような爆弾ですかって?

いやですね、私ごときがお話できる訳がないではないですか。おほほほほ。


そんな2つの王国は、隣合っていましてね。

非常に友好的な関係なのですよ。

ロマンス王国には、二人の愛らしい姫ぎみが。

ギャグ王国には、二人の頼もしい・・・・こともない・・・・かもしれない、二人の王子が。

それぞれいらっしゃいまして。

どうやら、イイ感じ、のようです。

ああ、イイ感じなのは、姫ぎみや王子だけではありませんよ。

王国のお付きのメイドや、姫様の家庭教師や、ロマンス王国の騎士団長や宮廷画家や、2つの王国を行き来してる吟遊詩人や・・・・


あら、私としたことが、お喋りが過ぎたようですね。

さて、そろそろ仕事に・・・・

え?なんですって?

そんな国なんて知らないと?

まぁ、そうでしょうね。

このふたつの国は、術士達の総力をあげた結界によって守られておりますから、存在自体がごく限られた方に伝えられているのみですので。

もっとも、王家の方も国民も、自由に行き来はできるのですが。ええ、もちろん、私もです。

では、もうそろそろ私は・・・・

は?

ロマンス王国とギャグ王国について、もっとお知りになりたいのですか?


仕方がありませんねぇ。

私がお話できるのは、この2つの王室の、ささいな日常について、くらいのものですよ?

ええ、私にとっては、毎日がそれは飽きることの無い楽しい日常ではありますが。

それでもよろしければ、お話いたしましょうか。

え?

私、ですか?

そうですねぇ・・・・強いて言うなら。

2つの王国をこよなく愛する、『しがない小説家』、ですかね。

夢なのですよ、いつか、この2つの王国の物語を書き上げることが。


さて。

では、何からお話しましょうかねぇ・・・・

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