「短編小説」(ユキちゃん)
健さん
第1話
高校3年の時のお話。卒業時に、クラスメート全員で、校庭に、各自、記念品、写真や、10年後の自分へのメッセージなどを入れた、”タイムカプセル”をやろうということになり、俺もみんなで撮った写真や、10年後のメッセージ(10年後の自分は、警察官になっているだろう。そして、出世するぞ!)と書いた。あと、修学旅行で、行った時のお土産などを入れた。そして、女子で、一番の美人の岡本雪。みんなにユキちゃんと呼ばれて人気者だ。本当に目がクリッとしていて、可愛い。(岡田奈々って感じ。古いな。)ユキちゃんも、何枚かの写真と、自分へのメッセージを入れた。そのメッセージは、(私の10年後は看護婦になってると思います。病気になってる患者さんを、少しでも癒していければと思います。がんばれ、ユキ!)そして、ユキちゃんが、大事にしていたという日本人形も一緒に入れた。そして、各自入れ終えて皆「10年後が楽しみだね」と言って蓋をして、土を被せた。そして、月日が流れ、10年後。俺も28歳になり、”公約”通り警察官になった。ただ、達成してないことがある。まだ巡査。出世は、これからだ。試験3回受けたが不合格。もっと、勉強しなければ。そして、そのタイムカプセルを開ける1か月前にクラスのみんな集めて同窓会をした。本当に久しぶりだ。40人全員出席のはずが、一人だけいない。そう、”アイドル”のユキちゃんだ。仕事が忙しいのかな?と、思ったら、ユキちゃんの親友の山下弘美が、言った。「実を言うと、知ってる人は何人かいると思うけど、ユキは、2年前に白血病で亡くなったの。自分で宣言した通り看護婦になったわ。頑張ってたのに、自分が病気になっちゃうなんて、皮肉よね。何回かお見舞いに行ったけど、ユキは、もう自分は永くないこと悟ってたみたい。よく言ってたわ。(あと2年で、10年になるけど、タイムカプセルみんなで、一緒に見たかった)って。」「え~~!!あのユキちゃんが!?」それを聞いてみんな固まってしまった。(実をいうと、ユキちゃんに会うのすごく楽しみにしていたんだよな。)そして、1か月後、学校の校庭にみんな集まった。いよいよついに、10年ぶりにタイムカプセルをオープンの時がきた。小さいブルドーザーで、土を掘り上げてようやく、30分後”その姿”が見えた。何人かで、その箱の蓋を釘抜きでこじ開けた。”おー!!”と、どよめきが。その”宇宙空間”は、10年前と何ら変わらないままだ。みんな、自分の品を見つけては、感激している。残ったのは、ユキちゃんの品だ。色紙と一緒に入れられていた写真を見た。よくよく見ると、顔が、変化?している?皆も見てビックリしている。何?この顔?他のみんなは、18歳の顔なのだが、ユキちゃんだけ、10年後の顔になっていた。しかも、その横に置いてあった日本人形の髪が2メートル程伸びていた。(完)
「短編小説」(ユキちゃん) 健さん @87s321n
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