リサイクルショップと魔法使い

K・Sメッセ

謎の木箱

謎の木箱(1)

 穏やかな風が吹き、東京でも桜が咲き、花見の季節を迎え。ここ大泉リサイクルショップでも、今度の水曜日、定休日に合わせて、店の近くにある公園で恒例の花見をする予定になっている。

 昨年の花見は雨で中止。天気予報では、今度の定休日は晴れの予想、みんな花見を楽しみにしていた。

 

 大泉リサイクルショップを経営し、店長でもある大泉洋介、40歳になりいまだに独身。独身で何が悪い、と言いそうだが。別に結婚に興味がないわけではない、自然の成り行きというやつ。

 洋介は、父親の影響を受け、高校を卒業後、この店で働き。30歳の時に両親を事故で亡くし、両親が経営していたこの店のあとを継いでもうすぐ10年が経つ。目利き腕は、既に父親を請え。現在、東京では、骨董品の鑑定士として、ちょっとは名が知られる存在にまでなっていた。


 この店は、洋介を含め従業員合わせて8名でこの店を盛り立てている。みんな気のいい連中ばかりで、従業員の平均年齢は28歳、男性4人に女性3人。年はわりと離れているが、まるで友達のようでもあり家族でもあり、そんな関係だった。その中で、洋介の右腕とも言われているのが、主任の島田光一、33歳、この店の唯一の既婚者で、子供が2人いる。


 この店の営業時間は、午前10時~午後7時まで。いつものように店内では、開店前のミーティング始まり。洋介は、昨日の売り上げを報告すると。島田主任が鑑定した絵画が昨日の夕方、700万で売れたことに、島田主任はあることを期待していた。


「だから、コウちゃん、そんな目で私を見るな!? わかった、わかった、心配するな!? 夏のボーナスははずむから、ちょっとだけだぞ」

「みんな、聞いたか? 夏のボーナスは期待していいそうだって」

 従業員たちは、3ヶ月先の夏のボーナスに期待をよせ、喜んでいる。


 あの絵画が売れ、洋介はちょっとホッとしていた。なにせ3年間売れず店内で眠っていた代物だった。

「そんなことより、ちゃんと仕事をしろよ!? じゃんじゃん売って、売りまくるぞー……! なんだ? 私のことは無視か? これだからなー、夢のない奴らは……」

「みんな、店長がいじけるから、仕事がんばるぞー!」


 みんな一致団結をし、それぞれの持ち場に戻り、いつものように店が開き、みんな楽しそうに仕事を始めた。

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