第5話 幼なじみと怪文書 その4
「別におかしなことじゃないだろ。
「そ、そうかも
「それに
「で、でも、こんな
「挑戦状?」
「だって、
「
ん? 挑戦状?
そうか。挑戦状。そう
ということはこのたった
となれば、やはり。
「
「え、なんで」
「これは挑戦状だと言ったな。そう受け取るならって
それは高校生になっても変わらないし、中学時代もそうだった。ならば。
「A《エー》さんはこの
「いいか、この怪文書に込められた
「一緒に?」
「そう。高校入学以前の俺たちをよく知っていなければ、こんな
コロッケパンをごくりと
「そうか。じゃあ
「三人?」だけ?
「でも」
「サイズにも
そうだ、ハサミ。どうしてAさんはハサミやカッターを使わなかった? ここは
「わざとだ」
「何がわざと?」
「ここで
「下にメッセージ……わたしに、伝えたいこと」
「やっぱり。なんとなくそんな気がしてたんだよね。これ、やっぱりラブレターなんだよ」
ら、ラブレター? 挑戦状どうこうはどこ行ったんだ。
「お前これがラブレターだって思ってんのか」
「だって、パソコンで
「字が綺麗なだけでラブレターなら、お前は
「は? 言うわけないじゃん」
……そりゃそうだ。
「ま、まあ。これはある意味じゃ活路だ。ヒントが増えれば答えにも近付く」
サイズを考えると、おそらくこの紙はメモ
一枚の紙を二枚に。一つじゃなく、二つ。
意味ありげに①と②を
『さ』の一画目と、『へ』を太字にして、『。』を紫色に。
机に入れられたのは体育か音楽の授業付近。
中学時代を知る人物。
あと少しだ。あと少し確信を持てる何かがあれば――。
「ねえ、
「……なんだよ」
「この『さ』って字なんだけどさ。なんでこの人、パソコンで打ったみたいな字で書いてるんだろう。『さ』って普通三画で書かない? 手で書くとき下を丸く書く人いないよ」
「言われてみれば」
やたら綺麗な字だからぱっと見では
すると。
「分かった!」
「……何が」
「分かったよ
何の当てにもならない一言が
「一応聞こう」
「まずこの①の空白。これは一番には別の名前が入りますよって意味なんだと思う。二番にはわたしの名前があるんだもん。きっとそうだよ」
……まあ最後まで聞こうじゃないか。
「次に『さ』。
「はあ」
「正解じゃない?」
「じゃあ紫の丸は」
「んっ」口を
「よし。じゃあ、そういうことにしておこう」
「ぬわー」
「自分でも
「だって」
だって――自分では
いや、
俺は
「考え方としては悪くないと思うが、無視している点が多すぎる気がするな」
だがやはり、俺にはない
俺は多分、このメモをそんな
「だから解けないんだろうな。一人では」
その時だった。
キンコンカンコン――と、校内に鐘の音が響いた。
「……まじかよ」
昼休みが終わってしまった。飯も満足に食えていないというのに。
「答えは出ず
「誰も使わない場所に時計なんか置くかよ……スマホ見ろスマ、ホ……」
ぴたっ、と。自分の身体が止まったことが分かった。脳の回路が一瞬フリーズしたみたいだった。
ひらめきって奴は突然やってくる。
『さ』が普通じゃないからこそ起こる一番の変化。そして紫色の大きな句点。
「そうか。そんな
一つ見えてくると
「なあ
三つ目のパンを開けようとしている
「ごめん。三つ目は返すよ」
「当たり前だ。でもそのことじゃない」
「?」
「
「何か分かったんだね!」
「分かったと言うか、まあこれで
「
「そうか。そうだな。じゃあ出来るだけ
このメモを誰が入れたかなんて、ここまで来たら
一つのことが分かれば理屈はあっという間に
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