(三)-5

 しばらくすると電話機の中で十円玉が落ちる音がした。そして耳元で声が聞こえた。

「はい、たいら総合病院です」

「え、あ、あの。電報を受け取った三浦典子と申します」

 そういうと、向こうから「少々お待ち下さい」とあり、少し待った後「お待たせしました」と返ってきた。

「高野国英さんの身内の方でいらっしゃいますか」

 身内? 身内ではない。将来はわからないけど……。

「いえ、身内ではないんですけど……」

「お知り合いですか」

「ええ」


(続く)

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