(二)-11

「彼からの手紙は来てない?」

 五月の初頭に郡家君が来た際、そう尋ねた。

「高野からの? そういえば最近見てないね……」

「そう……。ごめんなさい、変なことを聞いて」

「高野って、中学のときに同じクラスだった高野国英のことだろう」

「そうよ」

「やっぱり、お前たち付き合っていたのか」

「うん、そうよ」

「いつから」

「三年の冬。クリスマスの前くらいから」

「そうか。元旦にお前と高野が一緒に歩いているところを見たって、クラスで話題になっていたよな。あのときはもう……」

「うん、そうよ」

「そうか……。それじゃ」


(続く)

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