(一)-3

 私と彼は、歩いて伊達紋別駅まで来た。

 家族でお参りに来ていた人たちは、収穫物を運ぶオート三輪やトヨエースとか、最近流行のファミリアなどに乗ってやって来ていた。だから、わざわざ鉄道で初詣に来る人は、私たちくらいなものだった。

 私たちの他に駅の待合室にいたのは、真ん中に鎮座している大型の石油ストーブの上に置かれ、シュンシュンと蒸気を吐き出しているやかんだけだった。元日から旅行している人もいないし、仕事に行く人もおらず、行商人もいなかった。


(続く)

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