私のちょこれーと。

姫森なつな

前編

─ 教室 ─


女子A「もうすぐバレンタイン来るね〜」

女子B「そうだね〜」

女子A「ねえねえ!莉歌は今年のバレンタイン誰にあげるの〜??」

莉歌「え?私〜??友達と部活の皆と家族かな〜〜」

女子A「え〜本命あげない感じー???」

莉歌「どう考えても男勝りなこの私が本命のチョコレートあげる相手なんていないでしょ笑」

女子B「たしかにそうだけどさ〜笑」

女子A「莉歌が恋愛してる姿、想像つかないもんね〜」

女子B「あ、いるじゃん、あの人が!!」

莉歌「誰のこと?」

女子B「ほら、こっち見てるよ」

莉歌「ん……??」

海「…なんだよ」

莉歌「うわぁ…アイツ??ないないない!!」

女子B「えー莉歌と海くんって幼なじみでしょー??仲良いんじゃないのー??」

莉歌「ただの幼なじみだから!ないない、アイツと恋愛なんて」

女子A「え、海くんこっち来たよ?!」


海が莉歌の近くに歩いてくる。


海「なんだよ、ずっと俺の事見てきてさ」

莉歌「はぁー?あんたが見てきたんでしょ?私はね、あんたみたいなガキは興味なーいの!」

海「ガキ?!それはお前だろ?!」

莉歌「私のどこがガキなのよ!!」

女子A「ふふ、また始まった!この2人の喧嘩」

女子B「ほんっとに仲良いよね!!」

莉歌・海「仲よくなーーーーーい!!!!!」

女子B「ほら、ハモった笑」

女子C「あ、あの、、海くん!!」

海「ん?」

女子C「あの、バレンタイン当日、チョコ渡してもいいかな??」

女子D「あの!私もバレンタイン渡したい!!」

海「あー、いいけど」

女子C「ありがとう!!それじゃあ、また当日」

女子D「じゃあねー!!」

海「おぅ」

女子B「うわぁー、、さすが海くんだね、モテモテじゃん」

海「そんなことないよ、別に嬉しくもないし」

女子A「私が海くんの立場なら調子乗っちゃうかも〜海くんってさ、毎年いっぱいチョコもらってるじゃん??」

海「そうだけど…」

莉歌「なんでそんなに不満なの??」

海「いやー…俺さ、好きな人からチョコもらったことないんだよ」

莉歌「…………好きな人?」

女子A「えー?!そうなのー?!」

女子B「あーでもたしかに海くんって彼女とかいないもんね?今年はその好きな子に逆チョコ渡しちゃったら?そのまま告白もしてさ!」

海「いやー逆チョコとかなんかダセェって思っちゃってさ笑」

女子A「そんなことないのにー!!」


莉歌(…海って好きな人いたんだ、知らなかった。本当は私、自分では分かってるの、きっと、私、海のこと好きなんだ。だけどこんな男勝りで喧嘩ばかりの女を海が好きになるわけないし。そういえば数年前……)


─ 数年前 ─


莉歌「あ、あの!好きです!付き合ってください!!」

男子A「ごめん、俺、お前みたいな男勝りな女、大嫌いなんだよね、ごめん」

莉歌「…え」

男子A「ごめんな、じゃあね」

莉歌「…………あんな言葉言わなくてもいいのに……私じゃ恋愛しちゃいけないのかな。私は女の子でいちゃいけないのかな……」

?「ひでー振られ方だな、ほんと」

莉歌「え、海…?聞いてたの」

海「すっげぇひでぇ振られ方だったな」

莉歌「う、うるさい…」

海「…けどよ、かっこよかったよ、お前は」

莉歌「…え?」

海「俺は好きな奴ができても振られるのが怖くて告白なんて出来ねぇからさ、お前はすげぇよ、かっこいいよ」

莉歌「…海」

海「俺はさ誰にも今のこと言わないから、約束する。だから、泣けよ、俺の前だけでは泣けよ、泣いていいからさ。抱きしめてやるから。ほら、今だけ特別な」

莉歌「…海!!!!!」


あの日、抱きしめてくれた海の優しさに触れた時に私は海のことを好きになった。けど、次の日からはいつも通り喧嘩はするし私は口が悪いし、きっと女の子として見られてることはないんだろうな。


_海の好きな人ってどういう人なんだろう。


«続く»

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