第2話

もう7時か…




船橋の下で仮眠をとってから3時間。


あのお節介焼きのおかけで、空腹からは逃れられた。 




この年でホームレスは笑うよな。


情けなくて自嘲する。




またあのおっさんところ行かないといけないのか。




そう考えるだけで鬱になりそうになる。俺はそんなのに屈しないはずだ。


俺は強い。




パシッと自分の顔をたたく。




「よし!」






「元気そうでよかった」




いきなり後ろから声をかけられる。




「うわっ!」




「ごめん!びっくりした?」




さっきの大学生だ。しつこいな。




「なんか、君のことが心配で…」




「うっせ、くん……な?」




頭を撫でられる。


温かい指が心地よくて、警戒心が絆されていく。




ふと、大学生の顔が目にはいる。







「さわんなっ!!」




「はははっ、ごめんね、」




対して思ってもなさそうな声が聞こえる。




やっぱ泰也のおっさんに似ている。


どうもいけ好かない。なれなれしいし。




「やっぱ家きなよ」




「名前も知らないやつについていくやつがいるか」




「あぁ!ごめんね、僕は林汰」




「へぇー」




つれないなーと林汰が顔をしかめる。少ししたら、あっ!と顔を明るくし耳元でつぶやいた。




『金、あげるよ』




やっぱ泰也のおっさんと同じだ。だけど俺は今猛烈に金がない。でも上手い話過ぎてどこか不信だ。




「ほんとか」




「うん」




林汰の顔はなぜか高揚していた。




なるほど…




つまり"そういうこと"がしたいんだろ。


一人が二人になろうが、何も変わらない。








「俺は日美斗だ、よろしく」




「あぁ!よろしく!」


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