500文字の冒険
折れた綿棒
第1話 冒険者ギルド
今日から俺は冒険者としてデビューする。
転生してから早12年やっと既定の年齢になって夢のファンタジー世界を冒険しながら自分が活躍し高ランク冒険者にのし上がる姿を想像して、小走りで冒険者ギルドまでの道のりを走る。
ギルドの前には何台かの馬車とそれに乗り込む冒険者。その奥にはウエスタンな建物に両開きに開閉する、それ冬寒くないの?て感じのドアが付いている。
どきどきと心臓がうるさくて周りの雑音が聞こえずに歩き出すからだが重いことで自分がいざ目の前にして物怖じしているのを自覚する。
ぎぃ~と音を立て中に入ると酒と汗と武器や防具の整備に使用している油の臭いがした後に野太い笑い声とカチャカチャと食器の音がきこえる。
あぁ、この音懐かしい。バイトしていた居酒屋でいつも聞いていた。
経験のある雰囲気から緊張は自然と解け、登録をしにカウンターへ向かう。そこには期待していた美人受付嬢の姿はなく、良くてマダムに分類される女性が作業していた。
嘘だろ…。スーパーのパートさんの方が若々しく感じる熟練の書類裁き。
あ、指を舐めて書類を数える熟練受付嬢なんて見たくなかった…。
まぁ受付嬢が目的な訳で無いし。さっさと手続きしてもらおう。
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