「真実はいつも一つか二つか、三つぐらい!!」

 202X年4月X日。現在の時刻はPM9:00。


「犯人はこの中に居る!!」


 銅田一どうだいちカシメ少年は叫んだ。

 この場に居た全員に衝撃が走る。




 202X年4月X日……。

 古い洋館内にて、殺人事件が起きた。

 被害者は、この洋館の主である平良卓たいら すぐる(56)。貿易業をやっている男だった。

 この日は、被害者の息子・平良万太郎の17歳の誕生日であり、同時に万太郎の誕生パーティーが自宅である洋館内で開かれていた。

 そこに、万太郎の同級生であり、友人である銅田一カシメ少年が呼ばれ、誕生パーティーに参加した。

 万太郎の誕生パーティーには、学校の友人たちや親戚など、数多くの人々が集まった。

 パーティーはPM6:00から開始し、会場内は賑わっていた。

 しかし、万太郎は、パーティーが開始しても姿を見せない父を妙に思い、「具合でも悪いのだろうか?」と、会場から抜け出し、様子を見に父・卓の部屋へと向かう。

 PM7:35。万太郎はそこで背中にナイフが刺さり、うつ伏せで倒れている父・卓の死体を発見するのであった。


 PM8:00。警察の捜査が始まる。

 遺体の死亡推定時刻は、パーティー開始前のPM5:00前後。

 犯人はPM5:00あたりに、平良卓の部屋に訪れ、殺害。被害者の死因は、背中にナイフを刺されたことによる出血性ショック。

 凶器のナイフには指紋がついていなく、糸くずがついていた。

 警察は洋館内に居るパーティーの参加者たちの中に、平良卓を殺害した犯人が居るのではないかと疑った。

 しかし、パーティーの参加者は100人以上。その中から、犯人を見つけるのは困難。

 さらに、犯人は既に逃げているかもしれない……。

 警察は頭を抱えた。


 そんな時だった。


 会場のステージ上に、銅田一少年が立っていた。

 そして、彼は叫んだ。


「犯人はこの中に居る!!」


 PM9:00ちょうどに、銅田一少年は叫んだ。

 この場に居る全員に衝撃が走った。

 この事件の担当であるニコラス刑事は、銅田一少年に近づく。


「き、キミはまさか、あの伝説の名探偵・銅田一定助の孫のカシメくんか!?」


 ニコラス刑事がそう言うと、会場内はざわついた。


「銅田一定助って、あの伝説の名探偵!?」

「あの少年は、あの銅田一定助の孫だと言うのか!?」

「そう言えば、聞いたことがあるぞ!数々の難事件を解決させてきた少年探偵が居るって。もしかして、彼がそうなのか!?」


 騒ぎ出す場内を静める警察官たち。

 ニコラス刑事は、銅田一少年に近づく。


「さっき、キミは犯人はこの中に居ると言っていたが、その根拠はなんなんだい……?犯人は既にここから逃げ出している可能性だってあるんだぞ」


 ニコラス刑事は額から汗を流しながら、そう言った。

 しかし、銅田一少年は動じることなく、


「いや、間違いなく、犯人はここに居ます」


と言った。


「だから、その根拠はなんなんだい!?いくら、キミが銅田一定助の孫であり、名探偵とはいえ、捜査を混乱させられるのは困る!!」


 ニコラス刑事は叫んだ。

 それでも、銅田一少年は動じない。


「根拠というより、もう犯人は既にわかっています」

「なんだって!!」


 再び、会場内に衝撃が走る。

 驚きを隠せないニコラス刑事。

 あくまで落ち着いた様子の銅田一少年。


「犯人がわかっただと!?」

「ええ……。犯人は……」


 銅田一少年は静かに口を開いた。

 ざわついていた会場内が静まり返る。


「犯人は、俺だ!!」


 銅田一少年はそう叫び、自分に指を差した。

 ニコラス刑事、会場に居る全員に衝撃が走る。


「被害者である平良卓は、実は俺の父親!一晩の過ちで、母を孕ませ、俺が生まれた!!なのに、あの男はそのことをなかったことにして、母と俺を見捨て、違う女と結婚し、新しい家庭を築いていた!!俺の母は女手一つで俺を育ててくれたが、数年前に病気で他界した……。俺は憎んだ!自分と母を捨てた父の事を!!そして、俺は腹違いの兄弟である万太郎の誕生パーティーを利用して、洋館内のヤツの部屋に侵入。そのまま、ヤツの背中を、指紋が残らないように軍手をしてからナイフで突き刺した!そして、血が付いた服をトイレに流して着替え、何事もなかったかのように、パーティー会場に戻り、あとは死体が発見されるのを待っていたというわけだ!!」


 ニコラス刑事は、銅田一少年の両手に手錠をかけた。


「これが、この事件の真相だ……。ちなみに、銅田一定助は俺の祖父ではない。名字がたまたま同じなだけだ」


 こうして、また一つ、銅田一少年によって難事件が解決したのであった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る