「オタクに優しいヤ○ザ」
「オイ、オタク……。貴様……そんな軟弱な漫画を読んでいるのか?」
切裂(きりさき)組若頭の
僕が今、読んでいる漫画は『
「別にいいじゃないですか……。僕がなにを読んでいようと、あなたには関係ないじゃないですか……」
僕がそう言うと、切裂くんは気に入らなかったのか、眉間にしわを寄せた。
「貴様のような腑抜けた面の野郎を見ていると、イライラするんだよ!!」
「あっ!オイ、やめてください!やめてくださいよぉ!!」
切裂くんは僕から強引に漫画を奪った。
「こんな、甘ったるい漫画なんぞ読みやがって……」
「か、返して!!返してください!お願いします!!」
切裂くんは僕から奪った漫画をパラパラと読み始めた。
……。
それから、数分後……。
「くっ……。なんだ、この漫画……。メチャクチャ感動するではないか……」
切裂くんは僕から奪った漫画を読んで、号泣している。
いつの間にか、切裂くんは『特攻魔法少女タクコ』を夢中になって読んでいた。
「え、えっと、はい……。その漫画、所謂、萌え系ってタイプなんですけど……。結構、ドラマ性が高いと言いますか……泣けると言いますか……」
漫画を読んで、豪快に涙と鼻水を流す切裂くん。
頼むから、漫画に付着させないでくれよ……。
「このダリオというヤツが、愛するルシオのためにふんどし姿で太鼓を叩くところが素晴らしいな……」
切裂くんはスーツの袖で涙を拭いながら言う。
「ああ、そ、そうですよね!そのシーンは良いですよ!僕も感動して泣いちゃいましたよー。良いシーンですよねー」
「……俺がガキの頃、親父がふんどし姿でポン刀だけ持って、ルゴシ組にカチコミに行き、そのまま帰って来なかった日の事を思い出す……」
切裂くんは窓を見つめて、そう言った。
僕はリアクションに困った。
窓の向こう側の空は、雲ひとつなく晴れている……。
【次回予告】
授業中の教室に、いきなりパンチパーマでアロハシャツを着た男が入ってきた。
「若頭!大変じゃあ!ルゴシ組のヤツらが攻めてきおったぞ!!」
「なんだと!?」
切裂くんは、父の肩身である日本刀を持って教室から出ようとしていた。
「無茶だよ!ルゴシ組を相手に日本刀だけだなんて!!」
僕は切裂くんを止めた。
「それもそうだな……。じゃあ、オタク……。お前も来い……」
「ええっ!?」
カタギでただのオタクなのに、ヤ○ザ同士の仁義なき抗争に巻き込まれる僕!
一体、これから、僕は(生命的な意味で)どうなっちゃうの!?
次回、『そのヤ○ザはカタギであっても関係なくオタクを巻き込む』第二話!
「ドッキドキ!オタクくん、カチコミ初体験!!今夜は(トラウマで)眠れない!!」
お楽しみに!!
※続きません。
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