そして世界は救済される

汐風 波沙

プロローグ

俺はずっと思っていることがある。

この世は先に生まれたと言うだけで理不尽を押し付けてくる。

そう、俺は今日会社をクビになった。

つまり、その辺のニートやフリーターと変わらないただの社会不適合者のレッテルを貼られたのだ。

『懲戒免職』

このレッテルは生きている限りは剥がれないのであろうか?

うん、きっとそうだ。

なら、

そんなことを考えながら俺は駅のホームに立っていた。

遠くの踏切から遮断機の降りる音が響いている。

カーンカーンカーンカーン……

今、前に倒れれば、きっと楽になれる。

でも、それでいいのか?

本当にここで死んで何になる?

もし今ここで死んで、親に残せるものとすれば、電車を止めたという慰謝料くらいになる。

そんな迷惑極まりない物を残すわけにはいかないよな。

そんな馬鹿な行動をしようとしている間に電車はホームに着いた。

ドアが開き、俺は乗り込む。

そして、ドアが閉まる。

「発車しまーす。」という運転手の声で、電車は走り出した。

俺は座席に座る。

座ると同時にもう1つ馬鹿な願い事を心の中でした。

『神様、どうかこの世界に俺が報われるような不幸が訪れますように。』

その時、流れ星が一つ流れたのを俺は知らなかったのである。











俺は1Kマンションで一人暮らししている。

生まれてこの方、恋人なんて、出来たこともないが、非童貞である。

理由は、昔、幼馴染と1度、いや、あの時に何回かしたのか……、まあ、高校時代に幼馴染の処女と俺の童貞を交換したのだ。

1回目は、所詮こんなもんかと思ったが、何が物足りなかった俺は幼馴染に何度かの「もう1回」をし、ゴムのストックが無くなると、着けずにした。(ちゃんと外に出した。)

まぁ、そんなこともあって、俺は既に非童貞である。

まぁ、そんな自己紹介をしている間に俺の部屋に着いた。

俺はこの部屋を借りている訳では無い。

買ったのである。

何故買ったか?

そんなの、一生独身だと思っている訳だ。

何処にそんな金があるのか?

そんなの、宝くじで惜しくも3等が当たり、1000万円が手に入ったからである。

まあ、万が一、いや億が一結婚した場合は、この部屋を貸し出して、それで収入を得ればいいだけだ。

俺は部屋の鍵を開け、ドアを開く。

「ただいま……」

ボソリと呟いた。

もちろん誰もいない。

俺はテレビをつけ、シャワーを浴びる。

テレビのニュースは

「本日未明、謎の生物が……」

と言っていたが、正直どうでもよかった。

俺はシャワーを浴び終え、昨日の残りのカレーを温め、パックご飯と一緒に食べる。

こんな色のない生活を、もう2年もしてるのか。

そして、俺はいつの間にか眠りについていた。

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