第22話
「犯人が本当に狙っていたのは、貴女だったなんて……」
私の話を聞いて、レナードさんは驚いていた。
それまでコーヒーに息を吹きかけていたマッチョくんも、私が狙われていたと聞いて、険しい表情になっていた。
まあ、彼の表情が険しいのは普段からなのだけれど、より一層険しくなっていた。
「何か、心当たりはないのですか? どうして、貴女が狙われているのでしょうか?」
「どうしてと言われましても……、いったい、どうしてなんでしょうか? 心当たりなんて、全然ありませんよ」
「そうですか……。あ、ご安心ください。憲兵の方からも、貴女に警護をつけます。犯人の思い通りにはさせません」
「ありがとうございます、レナードさん」
私はお礼を言った。
そして、このあと、私を狙っている人物が誰なのか、明らかになるのだった。
*
(※ミランダ視点)
憲兵が話を聞きに来た。
いったい、どうして私のところへ来たの?
私が経営している店が窃盗に遭ったから、というわけではなさそうだ。
なぜなら、憲兵からは、本屋の前で起きた殺人未遂のことについて聞かれたからだ。
しかも、目撃証言を集めている様子ではなかった。
憲兵は、事件があった時間に何をしていたのか、私に聞いてきたのだ。
明らかに、容疑者として扱われている。
どうして、私が目をつけられたの?
偽装は完璧だった。
実際に、事件が起きてしばらくの間は、私のところへ憲兵は来なかった。
それなのに、どうして今になって……。
まさか……。
私は一つの可能性を思い付いた。
このまえ、シェリルと出会った時、彼女の側には憲兵の制服を着た人物がいた。
まさか、アイザックの事件の時のように、彼女が憲兵に入れ知恵をしているの?
そうとしか思えない。
いったい、どうすれば……。
いや、落ち着くのよ。
確かに憲兵は、私のことを疑っているみたいだけど、証拠が何もなければ問題はない。
だから、心配することはない。
私がやったなんて、わかるはずがないわ。
証拠なんて、何もないのだから……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます