第4話【創生】

 おぉー!! なんかすごそうなスキルだな。

 名称から考えると色々なものを生み出したり、作りあげることができるのかな。


 俺は本の中身が気になったが、その前にスマホに表示されているであろう本のレア度を確認すると


 ☆7【創生】


と表示されていた。


「☆7キターー!!」


 俺は思わず、叫んでしまった。


 正直、☆7は1%の確率だったから、当たるわけがないと思っていたのですごい嬉しい。


 現実みたいにリセットしてやり直すことはできないので、口では「☆7来い」とか言ったが、☆5でもいいやと思っていた。


 まさに無欲の勝利だな。


 俺はにんまりとしながら、本の内容を確認することとした。


 本を開くと、ダミーブックだったのか、表紙がめくれるだけであり、期待を裏切られた感が凄かったが、表紙をめくった先には、


【創生スキルの使い方】

①イメージしたものを作りだすことができる。

②大きさ、素材等に比例して魔力を消費する。

③生物は作りだせない。


という何とも簡略的な説明ながら、なかなかのチート性能を思わせる内容が記載されていた。


 イメージしたものが作りだせるってことは、日本産の便利な品物の数々や食べ物を作れるってことだろうか。


 作るものによってどのくらい魔力を消費するかは検証する必要があるな。

 そもそも自分に魔力があるかもわからないし……


【創生】の習得方法については、ページ下の方に【習得】というボタンが配置されていることから、これを押せば覚えられるのだろう。


 何とも安易な覚え方であるが、面倒がなくてありがたい。


 俺は早速【習得】ボタンを押してみた。


 すると本が眩い光に変換された後、俺の体の中に吸い込まれていき、頭の中に【創生】の使い方が流れ込んできた。


 これで【創生】を習得したのか?

 何となく魔力の使い方もわかるようになったな。


 後は実際に使えるかどうかやってみればわかるだろうと思い、俺は試しにキャンプで使うようなサバイバルナイフ(刃渡り約15センチ、ステンレス製)をイメージしながら魔力を込めて


「創生」


と唱えてみた。


 すると目の前で眩い光が発生したかと思うと「ポンッ」という気の抜けた音が出た後、地面に俺がイメージしたとおりのサバイバルナイフが出現した。


 おぉー! マジでイメージしたとおりにできたな!


 出現したナイフを手に取り眺めていたが、無から創り出したものとは思えない出来で実際に使用できそうであった。


 しかし、魔力をだいぶ消費したのか、強い倦怠感に襲われてしまい、俺は草原に寝っ転がって休憩することにした。


【創生】はかなり便利そうなスキルだけど魔力の消費が激しいな。

 倦怠感が強いのは消費した魔力が大きいのが原因な気がするから、どうにかして魔力を増やすか、回復する手段が欲しい。


 そのうち、ファンタジー世界においてお馴染みのオリハルコンとかの武器等も創生できるか試したいな。


 そんなことを考えているうちに、俺はいつのまにか寝てしまった。


 ……どのくらい寝ていたのだろうか。


 目を覚ますと、まだ明るかったことから、そんなに時間は経っていないのだろうと思えた。


 倦怠感が少し残っているが、このままここで夜を迎えるのはまずい気がする。


【召喚】以外のアイコンも気になるが、とりあえず移動しながら確認するか。


 俺は立ち上がり周囲を見渡したが、一面が草原であり、どちらに向かえばいいのかわからなかった。


 とりあえず適当に向かうか。


 俺は召喚したペットボトルを手に取り、適当な方向に歩き出した。


 歩きながら、スマホを操作すると、左上に15:00と時間が表示されていた。


 この世界の時間かな。


 現実と同じだとすると、あと数時間で暗くなってしまう。


 寝床も困るし、お腹も空いてきた。


 飢えて死ぬのは嫌だから、食べ物を見つけたい。


 最悪、食べ物は【創生】で作れば大丈夫か?

 作れるかは試さないとわからないけど。


 そんなことを考えながら、俺はひたすら草原を歩き続けた。

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