子猫との生活
第5話 約束
ニュースで
ホイル焼きはしめじと鮭の切り身をホイルで包んで醤油で味付けしただけのシンプルな物だったが、茶羽と黒羽には魚であることが美味しかったようで、おかわりまでするほどだった。
正直二人の食事の勢いを見ているだけでおなか一杯になりそうだった。
晩飯の片づけを終えてリビングに戻ると、二人はテレビに夢中になっていた。
動物を集めた特番がやっていて、画面にかぶりつくように見ていた。
「これならしばらくは静かだな。」
あまり暴れまわったり騒いだりする二人ではなかったが静かにしているうちに、調べたいことをネットで調べようとパソコンに向かう。
先ほどのニュースのようにもっと情報が無いかと、某有名掲示板やニュースサイトを見ていく。
ニュースサイトでは夕方のニュース以上の情報は得られなかった。
俺はSNSはやっていないので有名掲示板を見てみることにした。
掲示板ではスレが乱立してカオスな状態になっていた、
「全部見るの大変だぞこれ。」
そんな中でこの現象を検証しようというスレを見つけた。
だが内容は魔法だとか、魔力だとか、神の加護だとか、あまり真実味のない内容ばかりだった。
そんな中で某国の秘密実験だとか、はたまた異世界とのゲートがどこかに出来てその影響などという意見すらあった。
「あまり現実見ないよなこれ。」
他のスレも見ていくが、人化した子の画像をアップしている物まであった。
「まだ有力な情報はなさそうだな。」
まだ初日という事もあり特に有力な情報は無いようだったので、パソコンを切り背伸びをしながら時計を見ると、もうすぐ21時になるころだった。
茶羽と黒羽を見ると今にも寝そうなくらい頭をカックンカックンさせていた。
テレビを消して二人の元に行き、抱き上げると二人はそのまま眠ってしまった。
「しかたないな。」
そうつぶやきながら二階の寝室に連れていく、ベットに寝かせて俺も布団に入る。
今日あったことを一つ一つ思い出しているといつの間にかに眠っていた。
翌日、体の圧迫感で目が覚めた。
視線を下げると茶羽と黒羽が俺の上で寝ていた。
「茶羽、黒羽、重いんだが。」
時計を見ると7時過ぎたくらい、起きるにはちょっと早いかと思ったが、二度寝ができる状況ではなかったので起きることにした。
茶羽と黒羽はベットに座りながら顔をこすっている。
「起きたなら顔洗いに行こうな。」
そういうとまだ寝ぼけている二人を連れて洗面所に行く。
俺は顔を洗ってタオルで拭くと、水を手につけ指をはじくように水滴をまだ寝ぼけてる二人の顔に飛ばした。
「「うひゃあ!!」」
水を掛けられた二人は飛び跳ねながら変な声を出していた。
「二人とも目は覚めたか?」
してやったりという顔をしながら二人に声をかけると、二人は口をとがらせ頬を膨らましてじっと俺を見てくる。
頭をなでながら顔洗えと言うと、二人に洗面台に立って顔を洗い始める、そして俺が油断したすきにお返しとばかりに水を掛けられた。
二人は慌てる俺を見ながらキャッキャと喜び跳ねまわっていた。
「とりあえず顔拭こうな、ほら床までびちょびちょになって。」
「「ごめんなさい」」
「いや怒ってるわけじゃないけど、とりあえずきれいにしようか。」
「「はーい」」
そう言うと足元を確認した二人はタオルで顔を拭いた後、床も拭き始めた。
拭き終わった後タオルを受け取り洗濯機に投げ込むと、二人を連れて一階のリビングに降りていく。
二人はテレビが気に入ったのか、テレビの前に座り俺の方をじっと見てくる。
「テレビは後だな、まずはご飯と今後の事話そうか。」
そういうと『ごはん!』と言いながらテーブルに着く。
朝は納豆ご飯にきゅうりとレタスのサラダにリンゴジュース
二人は魚がないのに落ち込んでいるようだったが、リンゴジュースが気に入ったのか、すぐ笑顔で綺麗に他の物も平らげていた。
ご飯の片づけが終わってテーブルに着くと、二人に今後の事を話し始める。
「茶羽、黒羽、今後の事なんだけど。」
俺の真剣な顔を察してか姿勢を正して座り直し硬直する二人、それを見て俺は少し笑顔になった、
「そこまで硬くならなくていいんだよ、これから一緒に暮らしていくのに必要な約束を決めようって事だからな。」
「「うん」」
「まずひとつ、家の物は壊さない。」
二人の意見も聞いていくつかの家の中での約束を決めてリビングの壁に張り出すことにした。
内容は、
物は壊さない・家の敷地から出ない・何かあったらすぐ俺に話す・知ってる人でもついて行かない・危ない事はしない・お手伝いをする。
基本は二人の身を案じた約束だが、最後のお手伝いは二人が俺に何かお返しをしたいと言うので、お手伝いしてくれればいいよという事にした。
二人ができる範囲の家の中でできるお手伝いを考える。
例えば洗濯やお風呂掃除くらいなら二人でもできるだろう。
洗濯は完全自動で乾燥までしてくれる最新式だから、洗濯物を入れてスイッチを入れるだけだし、お風呂も湯はりは自動だし掃除くらいしかない。
後は出来る範囲で頼むことにするか。
「じゃあお手伝いの一つ目、お願いしようかな。」
そういうと目を輝かせて二人で首を縦に尻尾もぶんぶん振っている。
そして洗面所に二人を連れていく。
「まずはお洗濯、お風呂に入るときとかに着てた洋服とかをこの籠に入れておいて、毎日洗うんだけど、まずは見ててな、この機械に籠の中身を入れる、その時中に入っちゃだめだぞ、危ないからな、それから蓋を閉めて、このボタンを押す。」
そこまで話すと二人は真剣に聞いていた、
「そしたら後はこの機械が綺麗にしてくれるんだ、ぴーってなったら終わり、中の物を取り出してリビングにでも置いとけばいいぞ、次は洗濯が終わったら教えるからな。」
そこまで教えると真剣な顔でうんうんと頷いていた。
お風呂の掃除もブラシでごしごしと洗うのを見せながら教えた。
「さてお手伝いは休憩だ、自由に遊んでていいぞ。」
「「はーい」」
そういうと二人はリビングに走っていく。
ついて行くとテレビの前に座ってこっちをじっと見ている。
あ~早く電源入れろって事なんだな、そう考えながらリモコンを取り電源を入れる、そしてチャンネルをいくつか変えると、子供向けのアニメがやっていたのでそこで止めた。
テレビが映ったとたん食い入るように見始める二人。
それを確認すると俺はパソコンの前に座り、新たな情報は無いかとニュースサイトと昨日検索した履歴をたどる事にした。
ニュースサイトやニュース動画は特に目新しい情報はなかった、動画にしても昨日の政府発表を繰り返し流している感じだった。
掲示板では昨日生まれた子猫や子犬は人化していないという情報が手に入った。
いくつか人化した子の紹介ブログが立ち上がっていた、それを見ると4,5歳の犬耳の男の子が遊んでいる様子の画像がいくつか載せてあった。
するとスマホに着信があった、相手は先日まで手伝っていた会社の友人だった。
「はい、こんな朝早くにどうした?」
「おう、達也か、ネット見たか?」
「今見てるけどペットの人化の事か?」
「それもあるんだがお前の写真が出てたんでな。」
「は?なにそれ?」
「とりあえずメールでURL送るから見てみろ。」
そう言うと友人は通話を切った、その直後スマホにメール着信の音が鳴った。
確認するとURLが書いてあったのでクリックする、すると有名なSNSが現れた、そこには茶羽と黒羽と手をつないで歩いている俺の写真が載っていた。
なんだこれ?いつのまに?等と考えながら見ていると、
『近所のショッピングモールでケモ耳っ子、俺のエンジェル発見』
という文字と写真を載せていた。
さすがに顔もろ出しで隠してもいないので俺や茶羽や黒羽だとバレバレである。
削除依頼とか出せないのかな?といろいろ探していると、通報という項目があったので、肖像権の侵害という項目で通報報告を送っておいた。
顔を修正かけて隠してあるなら放置してもいいんだが、さすがに修正もせず顔もろ出しはやばい。
メールで教えてくれた友人に相談して通報したことを伝えたら、「さすがにあれは駄目だ」と同意してくれた。
それから昼前に遊びに来るとも言いだした。
え?まじで来る気なのかこいつ・・・
『あいつの事だ、もうこっちに向かってるだろうな』とあきらめた。
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