トリニティ

ヘルニア

第1話 取調室にて

僕は一つのあり得ない疑いをかけられ、警察署で尋問を受けていた。それは両親を殺害したというものだった。

「まあ、僕たちはほとんど君を疑ってなんかいないからね、心配しなくて大丈夫だよ」

優しい口調で僕にそう声をかけるのは山田山田(やまださんた)と名乗る警察官だった。

「二水烈火(にすいれっか)くんかぁ、珍しい名前だね!」

と彼は話題を作る。僕は人付き合いが苦手だが、一応話を合わせる。

「山田さんの方が珍しいと思いますけどね、、、」

「ややっ、そうか?まあ、大抵の人からは名前を見たとき二度見されるからね!」

彼は和やかに尋問を進めていく。

「最後に!君の見た光景をもう一度説明してくれないか?」

僕はそれに応じた。

「僕はある日いつも通り家に帰りました。すると、そこで待っていたのは両親の、、、」

「ストップ!もういいよ、十分だ!君にこれ以上辛い思いをして欲しくない!」

どうやら僕は気が動転していたようだ。額からは冷や汗が出て、体は小刻みに震えているのが分かった。

「何度も言うけど、君を未だに疑っているのは乃木(のぎ)さんくらいだろうな。だからほとんどの人は君の味方だ。困ったときは頼りにしてくれ!」

山田さんとメールアドレスを交換し、僕は警察署を出た。

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