第4話消された時間

僕は、自分で言うのもなんなのだが苦労人である。高校生の時、大学受験の勉強をしなければならないのに、母親がガンで入院し、父親は長距離トラック運転手だったので、炊事、洗濯は僕がしていた。弟に晩飯を作っていた。

お風呂から上がると、机の前に座る。

夜の9時から夜中の2時まで勉強をした。

何とか、難局を乗り越え大学に進学した。

前期までは通えた。教科書は先輩からもらったり、仲間の教科書を毎回コピーしていた。


夏休み頃に、母親はまた入院した。僕は就職超氷河期だったので大学を自主退学して、地元に戻り、アルバイトをした。家計を助けなければならない。

それから、アルバイトを辞めて介護職で正職員として働いた。

田舎の給料は15万円がいいところだ。

自動車は中古車を買った。だが、貯金が増えない。

アパート代も、バカにならない。

友達のつてを頼り、介護職を辞めて名古屋に住む。

最初は夜勤のガードマンをして、団体職員になった。港関係だったので、1日何時間も働いた。19歳から29歳までがむしゃらに働いた。

29歳で結婚して、子供が出来た。

しかし、僕は疲れ果てた。

30歳で精神を病み統合失調症になった。

30代は何をしていたのか記憶に乏しい。

30代の10年間は僕の人生の記憶から完全に欠落したのは、ある意味幸せかも知れない。


今、42歳。家族の為にはなっているだろうか?

嫁さんゴメンね。これからは、もっと楽させてあげるから。


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