第3話嫁さんの昔

うちの嫁さんは、言葉遣いは悪いがとても、優しい。

こんな僕みたいな、社会のクズと婚姻関係が続くのは嫁さんの優しさからだ。

昔は僕の事を〇〇さんと呼んでいたが。〇〇君になり、お前になり、てめえになり、現在は名字でよばれる。〇〇さんと。

いつの頃からか、嫁さんは結婚指輪を外している様に見える。

体型に似合わず、キレイな指の持ち主だ。


この前、嫁さんが調理中に冷蔵庫に缶ビールを取りに行き、去りぎわに嫁さんの尻を触ったら、包丁を向けて、殺すぞ!と言われた。別に触った意味は無く、スリリングを味わう為に触っただけだ。


無職でも、嫁さんお金を渡している。交代制で息子の塾代を支払っているので、5万円ほどである。就職すれば、金額はアップされ、僕はいつも、ワーキングプワーなのである。

最低限、酒とタバコは辞められない。

缶ビールとタバコくらいなら許してもらいたい。

嫁さんは少ない金額しか渡さなくていいと言っている。

自分の支払いは自分でしていて、尚且つ5万円を嫁さんに渡す。

殴られても、罵られても、僕は嫁さんを嫌いにならない。これを愛というのかわからないが……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る