第18話 珠玉の思い出

 ......終わった。


 私は、十分過ぎるくらいの充電を終えて、地球を後にする。

 これで、レージュ星で、私はまた暫くの間は美しく生きられる事になる。


 こんなに容易く事が運んで、思いの外、早く帰星出来るのは、ラッキーな事のはずなのに......


 それなのに、なぜなのかしら?

 この締め付けられるような寂しい気持ちは......?


 浅間さんが、あの時、五芒星に頼る事無く、ダイレクトに私に気持ちを伝えようと試みたから、私もご法度なのに、テレパシーを使ってしまった。


 記憶を留めて欲しいと言われて、それは浅間さんにとって危険を伴う判断なのに......心のどこかで、私、喜んでいた。


 浅間さんだけには、私の事を忘れて欲しく無かったから......


 もしも間違ったら、自身の記憶全てを喪失するかも知れないのに、それでも、浅間さんは、私と過ごした思い出が残る事を選択してくれた......


 嬉しかった......


 こんな気持ち、生まれて初めて......


 こうして地球を去るのが、とても辛い気持ちにさせられてしまう......

 

 まるで、遠い昔に読んだ全宇宙で有名な実話の世界のよう......


 地球人との恋愛に、憧れている宇宙人は多いのに、なぜか地球では、お伽噺とされているのが不思議でならないけど......


 『竹取物語』のかぐや姫の気持ちに例えられそう......


 そう、今の私の気持ちは、かぐや姫から帝への想いと同じなのかも知れない!


 やんごとなき相手でも、情熱的に求婚されたわけでも無かったけど......


 浅間さんは、私にとっては、初めて恋心を教えてくれた地球人......


 恋......


 私、恋を知ってしまった!


 全レージュ星女性達の憧れの『かぐや姫』の如く、地球人男性と恋に落ちてしまった......


全レージュ星女性達がどんなに目指しても、前例が無くハードルが高過ぎるはずの地球人男性との禁断の恋......


 その達成感をお土産に持ち帰っただけで、もう私の不老不死は約束されたようなもの!


 それは......

私にとって得難い素晴らしい功績では有るけれども......


 今となっては、不老不死の保証などよりも、この広大な宇宙で心通わせる人と出逢えた事の方が、他の何よりも幸せに感じられる!


  浅間さんとの珠玉の思い出をこのまま私だけの宝物として終わらせるのは、私の望みでは有るけれど......


 出来る事なら......


この幸せを他のレージュ星人とも共有して行けたらと願うから


『現代版 竹取物語』として、レージュ星で語り継がせましょう!


 これから執筆活動に忙しくなるわ!


 浅間さん、本当にありがとう!


 私ひとりだけが恩恵を授かるのは心苦しいから、浅間さんにも少しお裾分けさせて下さいね!

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