第9話 違う見え方の謎

「それじゃあ、お前は、誰に似ていると?」


 同じ色素薄い系でいくと、美少女かどうかは疑問だが、宇宙人にも見えなくもないような、モディリアーニの「おさげ髪の少女」だろうか?


 いやいや、「真珠の耳飾りの少女」の方が断然近い!!

 俺の見る目の方が確かだ!!


「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢だよ」


『美術史上最強の美少女』と言われの高いイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢......そう来たか!


 けど、イレーヌ嬢は、わずか8歳......

 髪や目の色も違うし......

 名前の響きは近いとはいえ、あの美しいミレーユさんを、似てもいないのに、そんなロリ丸出しの絵画の女の子に例えるとは!


 そうか......道下はロリコンだった!


 だから、ほんのりとお色気の有る『真珠の耳飾りの少女』によく似たミレーユさんには、そこまで関心無いのだろう。

 道下の好みだったら、わざわざ俺を紹介するなんて不利になる事をするわけがない。


 そうかそうか♪

 道下は、俺のライバルではないという事だ!

 良かった!

 安心した!


 後からしゃしゃり出た俺の方がミレーユさんとより仲良くなっても、文句言われる筋合いは無いのだな!

 

「実は、ミレーユさんは宇宙人なだけにシェイプシフターで、相手の目からは、理想の女性像で映る能力を持っているんだ。それで、浅間には、どういう外見で見えているのかと気になってね......」


 そんな冗談みたいな事を、冗談と思えないような口ぶりで話した道下。


 シェイプシフター......!


 道下は、日頃から、冗談など言う奴ではなく、正直さだけが取り柄の人間......


 って事は.......

やっぱり、ミレーユさんは、変幻自在!!


 俄かには信じ難いが、多分、真実なのだろう......


「俺には、真珠の耳飾りの少女のように見えるミレーユさんが、お前の目には、イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢のように見えているのか?」


 もう道下を疑うわけではないが、一応確認すると、頷いた......


 ミレーユさんは、相手の好みの姿に映る事の出来る能力を持っていた!

 道下には、全くタイプの違う女性に見えていたとは!


「宇宙人の能力って、計り知れないよな!

 あの手の平からのエネルギーも凄かったろう?」


「あれは、まだ疑問なんだけど、

 本当にあれだけで終わってもいいものだったのか?」


 俺の言葉に、意味分からないように笑いながら去って行った道下。

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