第4話 まさかの心の内を

 道下が珍しく真面目顔で話している時に、ふと、彼女の様子を伺うと


 なんと!

 笑っている!!


 正確に言うと、大口開けてゲタゲタではなく、静かに微笑んでいる!

 

 その控え目な笑顔も、また儚げで美しいのだが......

 

 新発見だった!

 宇宙人も笑うとは!!

 

 待てよ!

 笑っているという事は......


 これは、絶対、心が読まれているパターン!!


 考えてみれば、当たり前だよな......


 彼女は、地球まで楽々UFOで来られるほどの、優れた文明の星からの来訪者なのだから、読心術くらい心得ているだろう。


 今まで、彼女の背後から後光だの思っていた時点から、いや、もしかすると、道下が俺の話題をした時から既に、俺の心はずっと、彼女に読まれ続けていたのかも知れない!


 あの控え目な美しい笑顔には、俺の心は全てお見通しという、上から目線なものが含まれていたのだろう......


 嗚呼、なんて惨めな俺......


 ひとまず、落ち着け!!


 深呼吸、深呼吸......


 心を読まれないよう、何も考えないんだ!!

 

 ......


 無、無、む......だ


 無駄だ!


 そもそも、俺にそんな事が出来れば、何も苦労しない!


 こうなったら、読まれても、無難な事だけ考えよう!


 平常心だ、平常心!!


 平常心って、どんなだった......?


 嗚呼

 ダメだ、今日の俺......


「大丈夫ですよ」


 不意に、ミレーユさんの柔らかい声。

 今のは、俺の不安な心へ向けての慰め?


「浅間さんの反応は、私と初めて会った時の他の地球人の反応と、さほど変わらないですよ」


 滞在1週間にして、流暢な日本語を習得している!


 もしかすると、翻訳機のようなものが、身体に内蔵されているのかも知れない。

 

 ......って、それじゃあ、ミレーユさんがロボットのようじゃないか!

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