夕顔(ゆうがお)

 従者である惟光これみつの母である乳母を見舞った源氏は、乳母の屋敷の隣の垣根に、ユウガオの花が咲いているのに目を惹かれます。それを取りにやると、そこの住人が和歌で返答しました。深い教養の持ち主である女性に心惹かれる源氏は、身分を隠して彼女の元になんども通うようになります。素性不明の女性、夕顔ゆうがおにのめりこむ源氏はあるとき、廃墟にその女性を誘い、連れ込みます。しかしその日の深夜、突如女性の霊が現れるという怪奇現象に遭遇してしまいます。夕顔は意識を失い、明け方、息をひきとってしまいました。

 葬儀の後、源氏は夕顔に仕えていた女房、右近うこんから、夕顔がかつて頭中将の内縁の妻だったことを聞かされます。源氏は「雨夜の品定め」で頭中将が語っていた中流の女性が夕顔だったのだろうと悟ったのです。


 夕顔には頭中将との間に娘が一人いました。瑠璃君と呼ばれた娘ですが、源氏は彼女を引き取ることを決めます。しかし、従者惟光の制止にあい、断念。ほとぼりが冷めたのち、源氏は再び夕顔の家を訪ねますが、既に無人でした。



登場人物

惟光・・・源氏の従者で、母親が源氏の乳母、つまり乳兄弟。腹心として源氏を支える。

夕顔・・・源氏が、互いに素性を明かさぬまま関係を交わした女性。廃墟での逢瀬ののち、命を落とす。実はかつて頭中将の妻であったが、正室(右大臣の娘)からの嫌がらせに合い、失踪したのだった。頭中将との間に娘が一人いる。

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