第3話:【松風】天才ムーブ! の前説です。
1990年1月11日・大日本経済新聞・新連載コラム
<近世和算よもやま話・第1話>
昨年、大胡賢政の伝記が発見されてから、数々の歴史新事実が発表されている。これから10回にわたり、近代から近世にかけて発展した和算を振り返り、新しい知見を体系づける試みとしたいと思う。
今まで戦国末期から江戸期初頭、越後を本拠地とする蔵田屋が上野厩橋に出していた店で働いていた手代・伝兵衛が和算の先駆けであるというのが定説であった。
これはいささか眉唾物である。
いくつかの図形や筆算が描かれている書物が伝兵衛所蔵として残されているが、伝兵衛のその後の活躍が全く見られないのだ。
ただ、この時代に大胡政賢が厩橋で幼少期を過ごしており、政賢の手習いの師として青柳大師の賢祥、算術の指南と称して近在の商人を招いたとされており、この商人が伝兵衛であるとの見方も……
説明を付けるのも何なので、少しだけ。
勿論、和算は正史では18世紀のもの。主に武蔵で流行った物です。
そして伝兵衛は架空の人物で単なる商人の手代です。その人物がなぜか幾何の原理の書かれた書を持っていたと……
このように
「少しばかり」
「わからないようなくらい」の変化から
段々と大胆な歴史改変がなされていきます。
もしよろしかったら首取り物語本体部分とご一緒に楽しまれてくださいませ。
本作品部分はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16816700428374306619/episodes/16816700428379836002
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