紅のDr.~カルテの記録

たから聖

第1話突然の病気発症

僕の頭の中で、

街角の雑音がする。


『あぁ、また仕事に行かなきゃ。』

重たい身体を引きずり、クローゼットを開ける。


洋服選びも近頃テキトーだ。

珈琲で目を覚ますのも億劫だ。


『楽に、、なりたい。』

と、思えて仕方ない。


珈琲に甘いものでも入れるか?

と、生クリームと砂糖を

どっさり入れ

心なしか甘いものを口に入れると

ホッとする。



いつもの朝

いつもの通勤ルート

僕の中に、、いつしか

『死にたい。楽になれるなら』



と、、行動にも起こせないクセに

会社へ向かっていた。




ビルを見上げれば、まるで

コンクリートの牢獄だ。僕は

この会社に入って1年目。


仕事にも少しだけ、慣れてきて

要領の悪さだけをカバーできる

ズル賢さをマスターしていた。



上司の元へ向かい、、出来上がった書類を見せた。



その時、僕の頭の中で、

何かが弾けた……。

一瞬めまいがした。

頭に血がのぼる感覚がして

上司の僕に対する呼びかけの

景色が……


突然ぐにゃりとなり、僕はその場

で、、倒れてしまった。



フロアでは、女性社員が僕の肩を

揺さぶり、叫んでいる。



頭では理解できるのだが、

身体が、云うことを聞かないのだ。




血の気が引くと……



僕は、気を失ってしまった。

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