第2623話 ペナルティ

事務所のテーブルにティッシュを敷き


TVを眺めながら、殻付きの落花生を割っては置き、割っては置いて溜めている森くん(26)


あ〜こういう性格の子、いるなぁ


ところが、それを見ていた谷やん(37)が


「いただきっ」


30粒ほど溜まった実をグッと掴むと、ポイと口に入れてしまった


「何するんですか!」本気でキレる森くん


流石に悪いと思ったか「ごめんごめん」謝りながら谷やんが財布を持って事務所を出て行く


なんやあいつ食い逃げか?


森くんはムッとしたまま手が止まっている


と、ものの3分ほどで谷やんがコンビニの袋を持って帰ってきた


「すまん、ほら、これ」


袋からバタピーを出して森くんの前に置く


「そういうことじゃないでしょ」森くんが谷やんを睨む


おう、そういう事やないぞ谷コロ?


「いや悪かった、ゴメンて。つい取りたくなって。許して〜や〜それで」


「だからそういうことじゃないんだって!バタピーと、これ!(と割った実を摘み)違うでしょ!」


「あっバター味が嫌ってこと?」


「違う!う・す・か・わ!」


「えっ薄皮?食べるの?」


「当然でしょ!どんだけポリフェノール含んでると思ってるんですか!!」


「・・・あ、そうなん?」


「谷さんあなたはね、フィリピン人に笑われる典型的日本人ですよ!」


「はぁ?」


「ブラックタイガーあるでしょ?あれフィリピンでアタマ取って日本に輸出するんです。1番美味しいところを取ったエビ食べて喜んでる、あなたたちバカか?って笑われてるんです!それと同じこと!」


それ以降、谷やんのコードネームを無頭エビ太郎に変えたが


言いにくいので今は「むとうくん」と呼んでいる(客先でも)




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