第2066話 たぶん勘違いされてる

数日前、金城くん(29)が年配のお客様と行ったスナックで


お客様が宇崎竜童の「欲望の街」を歌い


それが今の時代にはない男の挽歌というのか、とても格好良かったそうだ


映画「白昼の死角」(1979)の主題歌だと教えてもらう


「君たちは知らんだろうけど当時は、悪人がのし上がるストーリー、ピカレスク映画ってのが沢山作られた時代だった」


熱く語るお客様の話に、金城くんは真剣に耳を傾けていた


で、勧められた松田優作の「蘇る金狼」をダウンロードして観た金城くんは、完全に世界にハマってしまった


それから数日は、無意識のうちに退廃的な仕草をしていたらしい


今朝、出掛けようと玄関扉を開けると


「26日から実家に帰るんだよー」と言ってた隣室のおばちゃん宅の玄関にhttps://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16817330664453885662


スーツ姿の男性が立ってインターホンを押しているのを見て


「お隣りさんなら、もういないぜ」


そうニヒルに言い捨て出勤してきたらしい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る