第1978話 能力

宮里くん(26・脳筋王子)「どうして軍手って片方だけ落ちるのでしょうね」


「たぶんスマホ見るとか財布を開けようとして軍手外して、それを無造作にポケットに突っ込んだはいいけど、うまく入り切らなくて歩いているうちに振動で落ちるから、じゃない?」


いわゆる道に落ちている片手袋の謎、というやつだな


「これなんですけど」宮里くんがズボンのポケットから軍手を出す


「ん?2つあるやん」


「あ、これは3対(つい)セット買って一つ目の右手が無くなったから二つ目の右手を足したんです」


「見せて」


差し出された軍手を受け取る


「二つ目の右手ってどっち?」


「えーっと、こっちすね」片方を指差す


「ふーん」机の下でシャッフルする


「右手どっち?」


「こっちすね」先程と同じ方を指差す


「えっ何でわかんの?小さな印とか付けてんの?」


「付けてないです」


その後も数回やってみたが、必ず同じ方を右手だという


コンビニで売ってる、安い裏表のないやつだ


近くにいたイシくんや坂下くんにも見せたが全く見分けがつかないという


むかし小さな女の子が四つ葉のクローバーの声が聞こえるとか言って百発百中したテレビを見たことがあるが


宮里には軍手の声が聞こえるのだろうか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る